第六十四話 阿波野君と先輩その十六
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「その先輩はそうしたことをしてしまったのよ」
「だからその時に言われたのね」
先輩が一年生の時に三年生の人にです。
「怒られたのね」
「そうだと思うわ」
「そこまでのことをしたから」
「だからなのね」
「退学になるお話じゃないけれど」
処分として最も重いものであることは言うまでもないです。
「それでもね」
「おみちの人として」
「絶対にやったら駄目、もうそれ以前に人としてね」
「やったら駄目だったのね」
「取り返しがつかないね」
「後悔してもどうしようもない」
「やった後で謝っても」
そうしてもというのです。
「やっぱりね」
「許されないのね」
「そんなことだったのよ」
「けれど」
私は何とか、先輩がしてしまったことにあの人がそんなことをするなんてと思って俯きながらもお母さんに言いました。
「先輩は」
「わかっているわ、けれどね」
「いい人も間違いを犯すから」
「世の中善人でも罪を犯すのよ」
「そうなのね」
「逆もあるけれど」
悪人がいいことをすることもというのです。
「いい人でもよ」
「悪いことをしてしまうのね」
「そう、よかれと思ってしてしまうこともあれば」
「先輩みたいにりっぷくしてとかもあるのね」
「そう、だからね」
お母さんはさらに言いました。
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