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夢幻水滸伝
第百九十八話 先んじればその十三

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「敵も愚かではないな、やっぱり」
「そうですね」
 リーと共にシンガポール軍の戦の用意を進めているアルフィアンが応えた。
「ですから」
「そや、もう先にな」
「攻めてくることもですね」
「しかねん、そして攻めて来るなら」
「シンガポールですね」
「敵をすぐに倒そうと思えば」 
 その場合はというと。
「頭を潰すことや」
「それが一番ですね」
「そして私達の頭はな」
「まさにこのシンガポールですね」
「そして私や」
 リーは自分もと言った。
「そうなる」
「棟梁を倒せば戦は勝ちですね」
「そうなるからな」
「シンガポールに攻めて来ますか」
「そうするかもな」
「そうですか、では」
「万全の備えをするで」
 戦、攻め込むそれの用意を進めつつ守りも固めるというのだ。
「ええな」
「このシンガポールは只の経済と貿易の中心地ではないです」
 アルフィアンも言った。
「太平洋全体の、それに加えて」
「要塞都市でもある」
「はい、守りは堅固です」
「それもかなりな」
「そのシンガポールを攻略しようと思えば」
 その時はというのだ。
「そうそうはです」
「陥落させられん」
「左様ですね、では」
「守りも固めていこか」
「そしてですね」
「準備が整ったら攻めるで」
「私達もですね」
 アルフィアンは自分達の出陣についても問うた。
「そうしますね」
「勿論や、行くで」
 リーは迷わず答えた、そのうえで戦の用意を進めていった。東南アジアの趨勢はまだ決していなかったがそれは間違いなく動いていた。


第百九十八話   完


                 2021・2・15
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