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夢幻水滸伝
第百九十八話 先んじればその十

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「リーさんの策は」
「それぞれの勢力を争わせることも考えたが」
「賊やモンスターがおるなら」
「その連中を討伐させるとな」
 そうすればというのだ。
「ええやろ」
「国同士の戦で傷付くのは民や国土であり」
「国力も消耗するな」
「はい、ですが賊やモンスターを討伐すれば」
 この場合はというと。
「その分治安がよくなって」
「その後の政も出来るしな」
「争わせるよりええですね」
「それでや」
「その様に仕掛けられますね」
「私達はやがて一つの勢力になる、しかも世界を救うんや」
 それならというのだ。
「それで民や国土に迷惑をかけたらな」
「まさに本末転倒ですね」
「そやからな」
 それ故にというのだ。
「そうしたことはな」
「一切しないですね」
「そういうことや、ほなマレーシアと決着をつける前に各国に情報を流すで」
 こう言って早速だった。
 リーはシンガポールの商人達の情報網で得た各国の賊やモンスター達の居場所を噂ただしそれは調べればすぐにわかる類のものとして各国の星の者達の耳に入れた、すると。
 彼等はすぐに賊やモンスターの討伐に力を入れる様になった、そうしてとても外に向かうことは出来なくなった。
 この状況を見てリーはシンガポールに集まった仲間達に話した。
「これでよしや」
「いや、これでです」
 ブッパースウォングは唸る様にして述べた。
「タイもベトナムもフィリピンもです」
「私達とマレーシアに何があっても動けんな」
「はい、三国共賊やモンスターの討伐に必死で」
「それでや」
「外には目を向けていても」
「力は向けられんな」
「そうした状況ではなくなりました」
 リーに真剣な目で答えた。
「最早」
「そしてその間にや」
「マレーシアと決着をつけますか」
「そうするで」
「しかもですね」
 ハリムも言ってきた。
「それをインドネシアにも仕掛けたので」
「あの国も賊やモンスターを討伐してくれてる」
「中に向いていますね」
「そうなった、それでな」
「我々との衝突に介入出来ない」
「東南アジアのどの国も動けん様になった」
「それで安心してマレーシアと戦える」
 ハリムの声も確かな者だった、その顔は笑っていた。
「左様ですね」
「これでな」
「ほなこれからですね」 
 チュットも言ってきた。
「マレーシアと戦いますか」
「それは最後や」
 リーはチュットにも答えた。
「戦はな」
「ほな戦うよりもですか」
「政でや」
「ことを収めますか」
「そうしたい」
 リーはチュットに己の考えを話した。
「ここはな」
「そうですか」
「シンガポールやブルネイだけではマレーシアに対することは出来んかった」 
 リーはこの現実も話した。
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