第六話 入学式の後でその四
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「だからね」
「死んでもなの」
「いいのよ」
この場合はというのだ。
「だから気にしないことよ」
「そうなのね」
「あとね、襲われない格好もあるわよ」
愛はカルピスサワーをごくごくと飲みつつ咲に言ってきた、咲程ではないが実にいい飲みっぷりである。
「だから普段はね」
「そうした格好で外出したらいいの」
「もう上下ジャージでシューズとかサンダルだと」
そうした格好ならというのだ。
「まず声もかけられないわ」
「そうなの」
「色気とか全然なくてね」
それでというのだ。
「もうね」
「声もかけられないの」
「後はもう咲ちゃんがこれまでかけていた眼鏡の中でも縁の太い四角いね」
「ああした眼鏡なの」
「それで髪はぼさぼさにしてノーメイクだと」
それならというのだ。
「まずね」
「襲われないどころか」
「声もね」
「かけられなくて」
「安全よ、あと私もね」
愛は笑って話した。
「これでもあまり声はかけられないから」
「愛ちゃんは派手過ぎるのよ」
母は愛の今の言葉にはむっとした顔で突っ込みを入れた。
「ギャル過ぎてね」
「それでなの」
「そう、派手過ぎたら」
それならというのだ。
「もうね」
「声もなの」
「かけてもらえないのよ」
「ナンパもされないのね」
「キャッチセールス位じゃないの?」
「あっ、それもないわ」
キャッチセールスにかかることもというのだ。
「最近はね」
「それはもうね」
「外見が派手だから」
「それ過ぎるからよ」
だからだというのだ。
「かえってね」
「声をなのね」
「かけられないのよ」
「派手過ぎるとなのね」
「今の恰好だってそうだよ」
今度は咲の父が叔父としてどうかという顔で愛に言った。
「愛ちゃんは本当に派手過ぎるよ」
「これでも昔のコギャルさんやヤマンバさんよりましでしょ」
「同じ位だよ」
その派手さはというのだ。
「だからかえってなんだよ」
「声かけられないのね」
「叔父さんでも愛ちゃんみたいな外見だとどうかと思うからね」
「いけてないの」
「いけていても派手過ぎるんだよ」
兎に角それに尽きるというのだ。
「だからだよ」
「それでかえってなのね」
「声をかけられないんだよ」
「そうなのね。じゃあ咲ちゃんもね」
愛は自分の叔父と叔母に言われてからそうした言葉は何とも思わずそのうえで咲にあらためて言った。
「やっぱり最初から声をかけられない為にはね」
「ジャージを着るとか」
「地味な格好をするかね」
「お姉ちゃんみたいに派手に」
「そうすればよ」
それでというのだ。
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