第一章
[2]次話
子犬達を連れ去って
ミッシー=グラント、アメリカサウスカロライナ州メイエスビル在住の彼女には悩みがあった、その悩みはというと。
「全く、スムーチーときたら」
「僕達には懐いてるけれどね」
夫のアイケルが応えた、二人共アフリカ系だ。アイケルは黒髪を短くしていてミッシーは後ろで束ねている。夫の背は一八六あり妻は一六五程だ。二人共結構太っている。
「それでもね」
「他の人達には吠えてね」
「狂暴だからね」
「ワン」
ここでそのスムーチーが鳴いた、垂れ耳でマズル目と鼻の間が短く長い毛の腹が白い黒犬である。目は優しい感じだ。
だが自分そっくりの五匹の子犬達を睨んでいる、どの子もまだ産まれたばかりだがミルクはかろうじて与えている位でだ。
何時攻撃するかわからない雰囲気すらある、それで。
夫は妻にだ、こう言った。
「自分の子供達にもこうだしね」
「飼い主以外は敵ね」
「そう思ってるんだな」
「子犬の時から凄く攻撃的だったし」
「大人になってもで」
「子供達にもね」
「何でこうなんだ」
夫は困った顔で言った。
「訓練受けてもこうだし」
「お母さんになったら変わると思っていたら」
「仲のいいのはミスキティーだけだな」
近所の野良猫である、豊かなクリーム色の毛の大きな猫だ。スムーチーも彼女とだけは友達でいられている。
「本当に」
「そうね、子犬達どうしようかしら」
「少なくともスムーチーは育てそうにないな」
「早いうちに里親の人達に渡そうかしら」
こう言った、だが。
ある休日そのミスキティーが家の庭にいた子犬達を一匹一匹だった。
首の後ろを咥えて何処かに連れ去って行った、それを見た妻は傍にいた夫に対して真っ青になって言った。
「ミスキティーが赤ちゃん達皆連れて行ったわ」
「えっ、猫なのにか」
「そうなの、それも皆ね」
「嘘じゃないのか」
自室でゲームをしていた夫も驚いて問い返した。
「それは」
「今最後の子を連れて行ったわ」
「すぐにミスキティーの家に行くぞ」
「倉庫の裏ね」
「ああ、そこに行くぞ」
こう言ってだった。
二人でミスキティーの家に行った、そしてだった。
彼女を探した、子犬達が気概を加えられるとは然程考えていなかったが訳がわからなかった。猫が子犬を攫ってどうするのか。
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