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ドッグフードを口に
第三章

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「買って帰りました」
「そうなんだな」
「セゴビアさんのお家に行ったんじゃないですか?」
「あの人も避難してるんだけれどな」 
 それでもとだ、彼は思った。そして。
 後日避難生活が終わってだった、そのうえで。
 職場も元通りに戻ってだ、日常が復活した時にセゴビア家の息子、高校生でアフリカ系で縮れた髪の毛の彼に会った時に言われた。
「オーティスうちに来たんですよ」
「ドッグフード持って来てかい」
「はい」
 それでというのだ。
「非難している間も一緒でした」
「そうなんだな」
「ドッグフードもあったんで」
「それは何よりだな」
「うちの祖父ちゃんの家は大丈夫で預かってもらってたんですが」 
 それでもというのだ。
「わざわざです」
「それは何よりだな」
「僕達もそうするなんて思っていなかったので」  
「嬉しかったんだな」
「祖父ちゃんは驚いていましたが」
「避難している時も一緒にいられてか」
「よかったです」
 ドッケンズに笑顔で答えた。
「本当に」
「それは何よりだな、それでオーティスは元気かい?」
「はい、会いますか?」
「ああ、そうさせてくれるか?」
 ドッケンズは笑顔で応えた、そしてだった。
 セゴビア家に行くとだった、そこにオーティスがいて彼を見ると嬉しそうに尻尾を振って出迎えてくれた。
「ワンワン」
「元気そうだな」
「はい、この通り」
 高校生の息子も笑顔で応えた。
「毎日ドッグフードを腹一杯食べています」
「そうか、もう普通の生活に戻ったんだ、それじゃあな」
「これからはあらためて」
「楽しく暮らしていこうな」
「そうしていきますよ」
 ドッケンズの言葉に笑顔で応えた、オーティスは彼にじゃれついてきたので二人で彼と遊んだ。復興した後はもう愛犬と共の楽しい日常が戻っていた。


ドッグフードを口に   完


                   2021・5・21
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