第二章
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「何だあいつ」
「いつもアグリーを連れて散歩しているぞ」
「不細工な連中同士で何やってるんだ」
「不細工だから付き合ってるのか」
「似た者同士だからか」
「だとしたらお似合いだな」
「そうだよな」
マンションの住人もその周りの者達もだ。
誰もがその彼等を見て笑った、しかし。
彼等はいつも一緒にいた、次第にアグリーの皮膚病は治り足も完治は無理だったがかなりましに歩ける様になり。
片目と片耳はそのままでもちゃんと手当をしてもらった、それでだった。
外見は普通になった、そしてやがてだった。
ボブが誰かもわかった、彼は何と。
「ボブ=オミットって小説家じゃないか」
「その作品が何作もハリウッドで映画にもなってる」
「アニメやドラマにもなってるじゃないか」
「世界的なベストセラー作家じゃないか」
「あんな外見だったんだな」
「それで見ろあの家」
ここで彼の家を見るとだった。
まるで宮殿だ、その家の駐車場にはロールスロイスもあり。
見事な庭でセキュリティも万全だった、マンションやその周りにいる者達はここで思い知ったのだった。
「あんな不細工なのに」
「大金持ちだったんだな」
「世界的なベストセラー作家で」
「そうだったんだな」
そのことを思い知ってだった。
彼等はもう彼を馬鹿にしなくなった、へこへことしてかつアグリーも褒める様になった。だがボブはというと。
彼等と変わらない態度であった、謙虚でありかつ温厚だ。それでいつもアグリーそれに彼以外の多くの猫や犬達と共に散歩をしていたが。
編集者は彼の原稿を受け取りつつ言った。
「ご近所は先生への態度を変えたらしいね」
「別にいいよ」
彼は編集者に穏やかな声で応えた。
「別に何でもないからね」
「お付き合いがないからですか」
「そうした人にどう思われても」
「いいんですね」
「うん、ただね」
ここでだ、彼は。
豪奢なリビングで特注のソファーに座ってコーヒーを飲みつつ一緒にそうしている編集者に語った。
「アグリーと出会えてね」
「あの子ですね」
「よかったよ、凄くいい子だよ」
「人懐っこくて愛嬌があって」
「そうでね、僕にもよく懐いてくれるよ」
「その通りですね」
「人は外見じゃないんだ」
ボブはこうも言った。
「僕は幼い頃からこの外見でね」
「嫌われていたんですよね」
「嫌われて仲間外れにされていじめられてね」
そうされてきてというのだ。
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