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助けられた子熊達
第二章

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 実際に子熊達に漁網をかけてだった。
 包み込んで一気に引き揚げた。
 まずは一匹、そしてもう一匹も。そうするとだった。
「助かったな」
「ああ、漁網もこんな使い方があるんだな」
「いや、よかったな」
「それで助けられた」
「よかったよかった」
「よし、次はな」
 ゴルシビッチは助けられた子熊達、濡れていて必死に身体を振るわせて水を周りに弾け飛ばさせている彼等を見つつ仲間達にさらに言った。
「母親のところに送り届けよう」
「ああ、そうだな」
「折角助けたしな」
「そうしないとな」
 仲間達も頷いてだった、そうして。
 船を母熊が今も見守っている島の岸辺に向かわせた、ここで漁師達は話した。
「子供がいじめられるって誤解してな」
「それで襲って来るかも知れないしな」
「そこは用心しような」
「襲って来たら足下を撃つか」
 猟銃も用意してだ、彼等は匹も手にしてだった。
 用心しつつ子熊達を岸それも母熊から少し離れたところに下ろし。
 母熊を警戒してすぐに船に戻った、そして岸から離れて親子を見守ると。
「クウン」
「クンクン」
「クゥン」
 母熊は子供達のところに駆け寄って彼等に身体を摺り寄せた、そして子熊達も。
 母親に身体を摺り寄せた、親子で愛おし気に再会を喜んでいることは明らかだった。船の上からその光景を見てだった。
 漁師達は満面の笑顔で話した。
「よかったな」
「ああ、助けてよかった」
「やっぱりこうした時は助けないとな」
「親子も再会出来た」
「命が助かってな」
「感動のハッピーエンドってやつだ」
「よし、帰ったら美味い酒が飲めるな」 
 ゴルシビッチは笑って言った。
「これだけのことをしたからな」
「ああ、そうだな」
「じゃあ港に帰って魚揚げたら乾杯するか」
「今日は最高の酒が飲めるぞ」
「じゃあすぐに戻ろうな」
 漁師達は笑顔で話した、そしてだった。
 彼等は湊に戻ってだった。
 仕事を終えるとすぐに居酒屋に入って乾杯した、そうして飲む酒は最高の味だった。


助けられた子熊達   完


                 2021・5・20
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