第十三話 希望の親その八
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「特に今は地理じゃない」
「ヨーロッパのね」
「そこは大体覚えたから」
「千春に教えてくれる?」
「うん、そうさせてもらうよ」
千春に顔を向けて微笑んでの言葉だった。
「覚え方とかもね」
「覚え方。覚えるコツも」
「それもわかってきたから」
勉強しているうちにだ。そうなったというのだ。
「そうしたところも教えさせてもらっていいかな」
「いいよ。それじゃあね」
「うん、中に入ろう」
図書館の中、そこにだというのだ。
「それで勉強しよう」
「一緒にね」
こうしてあった。二人はお互いの苦手教科を教え合ったのだった。二人、とりわけ希望にとってはこの日もまた非常に実りのある日になった。そうしてだった。
遂にこの日を迎えた。テストの初日だ。その日も希望は真人と共に登校していた。
彼と共に登校する真人がだ。希望にこう言ってきた。
「自信ありますか?」
「これまでかなり勉強してきたからね」
だからだとだ。希望は明るい笑顔で真人に答えた。
「いけると思うよ」
「遠井君の満足のいく成績がですか」
「残せると思うよ」
「それならです」
「それなら?」
「頑張って下さいね、最後の最後まで」
そうして欲しいとだ。真人は希望に声をかけた。
「諦めずに。そうして下さい」
「有り難う。それじゃあね」
「諦めなたらそれで終わりですから」
「そうだね。諦めたらね」
「はい、それで終わりです」
よく言われることだがそれでもだ。真人は希望に告げたのである。
「特にテストはです」
「時間ぎりぎりまで、例えわからなくても」
「粘れば違います」
「それもわかったよ。それとね」
「それととは?」
「妥協してもよくないものだよね」
テストとはそうしたものだというのだ。それもだ。
「それで中途半端な成績になるから」
「これは極論ですが」
「極論?」
「そうです。学校の勉強は教科書をそのまま。全て覚えれば」
どうなるかというのだ。それでだ。
「それで満点を取れます」
「あとは先生の言う通りのことを書けばだね」
「はい、それで満点です」
「そう考えると簡単ではあるんだね」
言う分にはだった。それはだ。
「それはね」
「はい、簡単ではありますが」
「それをできる人が少ないよね」
「人間はコンピューターではないので」
この辺りが違うのだ。コンピューターは何の抵抗もなく物ごとを覚えられる。しかしそれでもだ。人間はコンピューターではない。だからだというのだ。
「覚えることに抵抗があったりします」
「素直になりきれるとかじゃなくて」
「また別です」
「勉
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ