ムー大陸最後の一人
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無理矢理奪い返そうとするほむらだが、それに対し、ドラグレッダーが一睨み。生身の彼女より、ドラグレッダーが宝石を砕く方が圧倒的に早いことから、冷静さを取り戻したのだろう。動きを止めた。
「はあ、はあ……」
真司は息を切らしながら、二人を見つめる。
しばらくの沈黙の後、先に戦闘態勢を解除したのはソロだった。
「ふん」
彼は部屋に戻り、装置の前にたたずむ。
「何が目的だ」
装置に寄りかかり、腕を組んだソロは尋ねる。
「目的?」
「戦いを止めるというのは方便だろう? 願いを持たない人間なんていない」
「……俺の願いは、戦いなんて終わらせたい。サーヴァントの一人として、叶えたい願いがそれなんだ」
かつて、これと同じことを言った時は、死の目前だった。
だが今は、はっきりと生きている状態でそれを言えた。
ソロはしばらく黙り、「ふん」と鼻を鳴らす。
「なあ、ソロ……だよな? お前は、一体何なんだ? どうして、ムー大陸にそこまでこだわるんだ? なんで、ブライに変身できるんだ? 何のために、戦っているんだ?」
ほむらもずっとそれが気になっていたのだろう。彼女もまた、目線をソロへ向けた。
ソロはしばらく黙っていた。やがて、真司を、ほむらを睨み。そして、無数のカプセルを見上げる。
「……いいだろう。そこまで言うなら教えてやる。それは……」
ほむらも、じっとソロの言葉に耳を傾けている。
そして。
「オレが、たった一人だからだ。オレが、たった一人残された……
ムーの生き残りだからだ!」
「ムーの……生き残り?」
ソロの真上。一番天井のカプセルは、無事のまま開いており、その中にはミイラはいなかった。
ソロは続ける。
「オレはムー大陸で生きていた人間の血を引く最後の一人だ。物心着いた時から、オレの手には、ムーの遺産があり、電波変換が可能だった」
ムーの遺産。真司は、手に持った石の携帯端末を見下ろす。今の技術では到底作れない代物が、しがない記者志望のフリーターの手にある。
「じゃあ……お前の願いは……」
「ムー大陸の、再興?」
真司の言葉をほむらが引き継ぐ。だが、ソロは首を振った。
「オレが同胞を失って悲しんでいるとでも? ふざけるな。オレはそんなにヤワじゃない」
その証拠とばかりに、ソロは近くのカプセルのガラスを殴った。ガラスは砕くのではなく、歪み、変形する。
「オレの願いは、ムーの力を永遠に、誰の手も届かないものにすることだ。オレの体に流れる血が、ムーを誰かに使われるのを許さないんだよ……!」
「そのために戦っているというの?」
ほむらが目を大きく見開く。
「そんな、成し
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