第十三話 希望の親その四
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「希望のことが大好きやってな」
「千春お顔に何も書いてないよ」
「いあいや、顔にそのまま字を書いてるんやなくてな」
「違うの?」
「顔に出てるんや。心がや」
それでだというのだ。
「心が。そのまま顔に出てるんや」
「今の千春はそうなの」
「そやで。けれど嬉しいわ」
「嬉しいって?」
「希望にもそういう人ができたさかいなあ。うち嬉しいで」
「千春が希望と一緒にいることが?」
「やっと。希望にもそういう人が出て来てくれたんやな」
まさに親、若しくは祖母の顔になっての言葉だった。
「ほんま嬉しいわ。このことが」
「あの、ぽぽちゃん」
暫く黙っていた希望がだ。ぽぽちゃんに止める顔で言ってきた。
「おばちゃんのところに」
「ああ、そうそう。それやったわ」
「忘れてもらったら困るよ。だからね」
「ああ、姉ちゃんのところに案内するで」
「じゃあ頼むよ」
こうしてだった。二人はぽぽちゃんの案内を受けてだ。そうしてだった。
家の中に入った。入ってすぐに玄関がありその上には廊下が見える。まずは玄関で靴を脱ぎ。
そこから廊下にあがりだ。ぽぽちゃんに案内される。その中でだ。
希望は静かにだ。こう言った。
「あのさ」
「何や?」
「おばちゃん台所かな」
「そこでお花作ってるで」
内職はそれだった。
「うちもさっきまで一緒やったで」
「そうだよね。今日もやってるんだ」
「仕事せな」
ぽぽちゃんは笑ってだ。それは絶対だと言った。
「年金あっても働けるだけ働かんとあかんさかいな」
「おばちゃんもぽぽちゃんもいつも言ってるよね」
「働いたらそれだけお金入って」
ぽぽちゃんは自分の後ろにいる希望に顔を向けて廊下を前に進みながら話す。
「希望等が来た時美味しいもん出せるやろ」
「僕のことなんかいいのに」
「ええねんや。希望は何時でもここに来てな」
そしてだと言うぽぽちゃんだった。
「楽しく過ごしたらええねんで」
「そうしていいんだね」
「ええねんで」
またこう言うぽぽちゃんだった。
「それで姉ちゃんおるさかい」
「うん。おばちゃんと四人で話そう」
「そうしよか」
こう話してだ。そのうえでだった。
希望と千春はそのおばちゃんが待っている場所に向かった。そこは台所と一緒になっているリビングだった。そこには四人用のテーブルと椅子があった。
そしてその席の一つにだ。優しい光を放つ垂れた小さい目をした老女がいた。老女は穏やかな顔をしており黒くやや縮れた黒い髪をしている。赤い割烹着に服を着ている。
その老女は手で造花を作っていた。薔薇の花である。
その老女にだ
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