第十三話 希望の親その三
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「それって間違ってるよね」
「うん、そう思うよ」
「しかもそのお金は返してないんだ」
それに加えてだった。
「全くね」
「そんな人達なの」
「そうだよ。そうした人達だよ」
苦い顔でだ。希望はまた千春に話した。
「だから。もうね」
「わかった。じゃあ今からね」
「チャイム鳴らすから」
家の玄関の横、そこにだった。
チャイムのボタンがあった。ボタンのところには音符がある。その音符のところにだ。希望はその指を近付けていきそうしてだった。
チャイムのボタンを押した。するとだ。
そこから音楽的な音が鳴りだ。暫くしてだ。
家の扉、厚いでこぼこしたガラスとプラスチックの柵で作られたその扉の向こうからだ。誰かが歩いてくる音がした。わりかし慌しい感じだ。
それは玄関のところに来てだ。それからだ。
青いエプロンに質素な古い服ともんぺのロ王女が出て来た。痩せた皺の多い顔に大きな目をしている。その老女が出て来てだ。希望の顔を見てだ。
笑顔でだ。こう言ってきたのだった。
「ああ、希望か。よお来たな」
「あっ、ぽぽちゃん」
その老女の顔を見てだ。希望もすぐに笑顔になった。
そしてそのうえでだ。こう老女に言ったのである。
「おばちゃんおる?」
「姉ちゃんやね。おるで」
老女、希望にぽぽちゃんと呼ばれる彼女はだ。その笑顔で希望に答えてきた。
背中は少し丸くなった感じで背は低くだ。一四五もない。だから希望を見上げていた。
その見上げている目はとても優しいものだった。希望もその目を受けて笑顔になっている。そのうえでだ。彼はそのぽぽちゃんに対して言ったのだ。
「じゃあすぐにね。ぽぽちゃんと一緒に」
「姉ちゃんと三人でやな」
「いや、四人だよ」
笑ってだ。希望はぽぽちゃんにこうも言った。
「四人なんだ」
「ああ、その娘もやねんな」
ぽぽちゃんはここで千春に気付いた。希望の横にいる彼女にだ。
そしてだ。顔を崩して笑って言ったのだった。
「可愛い娘やね。希望のお嫁さんかいな」
「ちょっと、そういうのじゃないから」
笑いながらだ。希望はぽぽちゃんの言葉を否定した。
「そんな。そういうのじゃね」
「じゃあ恋人やね」
ぽぽちゃんは希望を見上げてだ。その皺の多い顔で言った。見れば髪の毛は薄くなってきているがその色は黒い。黒く縮れた毛をしている。
「それなんやね」
「そうだよ。それでね」
「そうそう、四人やったな」
「うん。四人で話したいけれどいいかな」
「ええよ」
にこにことしてだ。ぽぽちゃんはそれをよしとした。
「姉ちゃんもおるさかいな」
「おばちゃん何処にいるのかな」
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