第十三話 希望の親その二
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「高校に入っての一学期は特にね」
「千春と会う前は」
「しょっちゅう行ってたよ。辛かったから」
「辛かったから」
「だからおばちゃん達のところに行ってたんだ」
自分を愛してくれて優しくしてくれるだ。二人のところにだというのだ。希望にしても救いや癒しが欲しかったのだ。そしてそういったものを求めてだったのだ。
「そうしてたんだ」
「そうだったの。希望も」
「今行くのは図々しいかな」
ふとだ。希望はこんなことも思った。
「暫く行ってなくて。住ませて欲しいっていうのは」
「ううん。そうじゃないと思うよ」
「おばちゃん達怒らないかな」
「だって。その間ね」
「おばちゃん達と会っていない間?」
「希望は色々なことしてきたから」
千春と一緒にいることに真人と共にいること。そしてだった。
「努力もしてきたから」
「だからなんだ」
「そのことを怒ったり嫌に思う人達?希望の大叔母さん達って」
「ううん、違うよ」
そうではないとだ。希望はすぐに答えることができた。
「そんなことは絶対にないよ」
「そうだよね。だったらね」
「大丈夫なんだね。おばちゃん達は」
「怒ってないよ」
千春は笑顔で答えた。
「絶対にね。そんな筈がないよ」
「そう。だったらだね」
「うん。楽しくね」
そしてだというのだ。
「楽しく。その人達のところに行こうね」
「そして話そうか」
千春のその満開の明るさをたたえた顔を見ての言葉だった。
「そうしようか。今からね」
「そうしよう。一緒に行ってね」
こう話しているうちにだ。二人はだ。
庭のない普通の一軒家に来た。かなり古い家だった。三十年は経っているだろうか。
その家の玄関、家の玄関がそのままあるその玄関の前に来てだ。希望が言った。
「ここだよ」
「このお家がなのね」
「うん。おばちゃん達のお家なんだ」
まさにだ。この家がだというのだ。
「どうかな。このお家は」
「どうかなって?」
「小さいよね」
その家を見ながらだ。希望はやや自虐的に見える笑みで千春に言ったのである。
「それに古いよね」
「小さくて古いから?」
「お父さんやお母さんはこの家を嫌ってたんだ」
見れば二階建てでその二階にはベランダも見える。しかしだ。
確かに庭はなく小さい。希望はその小さな家の前で千春に言うのである。
「こんなところ二度といたくないってね」
「小さくて古いから」
「だから独立したんだ。おばちゃん達からお金を貰ってね」
「自分達が嫌ってる人達から?」
「そういうことは気にしないから」
希望の両親はだ。そうした者達だというのだ。
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