第六十四話 阿波野君と先輩その十三
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「だから若し千里達がそんなことをしたら」
「許さないのね」
「本気で怒るわよ」
「そうするのね」
「お父さんもね」
「それだけのことなのね」
「してからだと遅いの」
お母さんは厳しい顔で言いました。
「もうね」
「後悔先に立たずね」
「そう、だからね」
「若し私達がそんなことをしたら」
「しないと確信してるけれどね」
それでもというのです。
「そうしたことは許さないから」
「人をとても傷付けてしかも神様も忘れて」
「もう教会の人に思えないから」
だからだというのです。
「そこはわかっておいてね」
「ええ、私もね」
「そういうことはね」
「それで私達はしないって」
「それも絶対にね」
「けれど若ししたらなのね」
「その時は絶対に許さないわ」
こう私に言うのでした。
「何があってもね」
「しないってわかっていてもなのね」
「つまり人として許されないことなの」
そうした意味だというのです。
「千里の先輩がしたことはね」
「そしておみちの人としても」
「許されないことなのよ」
「二重の意味で許されないことをしたのね、先輩は」
そう思うと辛くなりました、とても優しくておみちのこともよくわかっている素晴らしい人なのに。
「間違えたのかしら」
「そう思うわ、何があってもりっぷくしてね」
そうしてというのです。
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