第五話 入学間近その九
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「あの人お母さんが若い頃とか子供の頃とかスターだったのよ」
「ああ、西武とかにいて」
「高校時代もね」
PL学園にいた頃の話だった。
「凄かったのよ」
「それは私も聞いたことあるけれど」
「アイドル選手でね」
「それ全然信じられないけれど」
「もう一人の人の方が悪いイメージで」
「あの巨人のエースだった」
「そう、咲は知らないし信じられないでしょうけれど」
それでもというのだ。
「昔はそうだったのよ」
「今はもう一人の方がずっと評価上ね」
「真面目で理知的でね」
「凄く頭いいって」
咲は自分と友人達の評価を話した。
「そうした感じだけれど」
「昔は違ったのよ」
「あの人の方がずっとなのね」
「人気あってね」
そしてというのだ。
「アイドル選手で爽やかなイメージだったのよ」
「今のどうしようもないものじゃないの」
「そうだったのよ」
「信じられないわね」
「けれど今はそうで」
それでというのだ。
「ああした人になったらね」
「駄目ってことね」
「そうよ、わかっておいてね」
「わかったわ」
咲もすぐに答えた。
「家事の方もね」
「全く。お母さん達が子供の頃はスターだったのに」
それがというのだ。
「あんなに落ちぶれてね」
「落ちぶれたの」
「あんな落ちぶれた人そうそういないわよ」
「スターから今じゃね」
「ああなったから。本当にああなったら」
それこそというのだ。
「人間としてね」
「終わりね」
「もう長く生きられないかもね」
「糖尿病でずっと覚醒剤やってて」
「あの太り方じゃね。長い間物凄い不摂生な生活してたっていうから」
「スポーツ選手だったのに」
「若い時からそこにネオンがあるから行くって人だったっていうから」
母の言葉は否定的であった。
「それじゃあね」
「もうなの」
「そう、長くないわよ」
人生のこれから先はというのだ。
「長い間不摂生な生活していて糖尿病にもなって物凄く太って」
「覚醒剤もしていたから」
「やっぱり節制はしないとね」
母の言葉は切実なものであった、娘である咲に対してではなくむしろ自分に対して言っている言葉だった。
「駄目ね」
「それはね」
「そう、本当に思うわ」
「あの人長生き出来ないのね」
「お母さんはそう思うから」
「あの人みたいな生活もなのね」
「覚醒剤は論外にしても」
そのことを置いておいてもというのだ。
「それ以外も駄目過ぎるから」
「刺青も」
「それ普通の人しないでしょ」
絶対にという言葉だった。
「刺青なんて」
「そうよね」
咲もその通りだと頷いた。
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