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歪んだ世界の中で
第十二話 笑顔の親戚その八

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「つまり遠井君にとっては大叔母さん達がご両親になりますね」
「おばちゃん達が。そうなるのかな」
「はい、そうなると思います」
「そうならね。そうだとしたら」
「そうだとしたら?」
「それは凄く嬉しいよ」
 真人にだ。愛する大叔母達こそが親だと言ってもらった、そのことがだ。
 希望にとっては嬉しくだ。こう答えたのである。
「じゃあ僕は親のところに戻るのかな」100
「そうなりますね」
「親っていっても」
「親は誰かが産んだとかいうもので決まるのではなくて」
「育てたってことがなんだね」
「遠井君は大叔母さん達にも育ててもらいましたね」
「あの両親はね。どっちも遊んでばかりで」
 自分達がだ。そうしてだというのだ。
「僕のことはほったらかしでね」
「それで大叔母さん達がですね」
「うん、大切にしてくれたから」
「今まで、ですね」
「育ってこれたんだね」
 大叔母達はだ。希望にとってそこまでの存在だった。
「そうなんだね」
「ですから。遠井君にとってお二人はです」
「親だね」
「はい、親です」
 それだとだ。真人が告げた。
「育ての親ですね」
「そうなるね。僕にとってね」
「では子供は親と一緒に住むものですから」
「うん、話してみるよ」
 希望は微笑んで真人に答えた。
「そうするよ」
「では今日は頑張って下さいね」
「二人でね」 
 こうだ。その牛丼定食を食べながらだ。二人は話したのだった。そしてだった。
 放課後になってだ。希望は千春と共に下校に移った。学校の廊下、放課後になり家に帰る生徒や部活に向かう生徒達でごった返しているその廊下を二人で歩きながらだ。
 希望は真人と話したことをそのまま千春に話していた。そして言うのだった。
「わかったんだ。おばちゃん達はね」
「親なのね」
「うん、僕にとってはね」
 このことをだ。千春にも言ったのである。
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