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愛情が忘れられなくて
第二章
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「お母さん、見て」
「ワンちゃんがいるよ」 
 二人の娘、モニカとセニカが言ってきた。二人共まだ小学校にも入っていない。外見は母親似だが目は青で父親でありセネカの夫のタフィとそれは同じだ。眉も父親似である。
 二人は家の愛犬茶の雌のトイプードルのキャシーと雄のポメラニアンのショーンと庭で遊んでいたのだ。二匹共色は茶色である。
「おっきな茶色のワンちゃんよ」
「耳ちょっと垂れてるよ」
「えっ、あの子は」
 娘に言われて庭に出てその犬を見てだった。
 セネカは驚いた、その犬は。
「ゼルダ!?」
「ワンッ!」
 ゼルダはセニカを見ると家の前で尻尾を振った、そして門を開けるとだった。
 そこに入って来た、とりあえずは保護したが。
「うちから出ようとしないな」
「ええ、ずっと私の傍にいて離れないわ」
 セネカは夫にこう返した、夫は金髪を後ろに撫で付けていて青い目だ、きりっとした顔立ちで背は一九〇以上ありボディービルをしているだけあって筋肉が凄い。
「どうにもね」
「君を相当慕ってるんだな」
「だから今のお家から出てなのね」
「そこから結構離れていても」
「このお家にいたこともあって」
「場所はわかっているから来たんだな」
「そうね、お家にいないといけないのに」
 家族のそこにというのだ。
「どうしたものかしら」
「ご家族と話そうか」
「そうするわ」
 セネカはこう言って彼女の今の家族と話した、だが。
 ゼルダはどうしてもセネカが家にいる時は離れず。
 彼女が仕事に行く時は悲しそうに鳴いた、帰って来ると尻尾をぱたぱたと振って喜んだ。そんな彼女を見てだった。
 セネカも彼女の家族もゼルダの今の家族もだった。
 それならとなってだ、センターとも話してだった。
 ゼルダはセネカの家族になることになった、それで。
 セネカは家でゼルダの頭を撫でつつ夫に話した。
「私が余程ね」
「好きになったんだな」
「そうね、センターでお世話をしたから」
「それが余程嬉しくて愛情を感じただろう」
「そうなのね」
「犬も人と同じだ、心があるんだ」
 夫は二匹の犬達が自分の左右にいるのを見ながら話した。
「愛情を以て接してくれたら」
「愛情を持ってね」
「その相手に。そして慕うんだ」
「だからこの子は私のところに来たのね」
「そうだよ、長い旅を一匹でしてまでね」
「それじゃあね」
「その愛情に応えよう」
 夫は妻に言った。
「そうしていこう、家族全員で」
「そうね、ゼルダこれからはずっと一緒に」
「ワン」
 ゼルダはセネカのその言葉に嬉しそうに鳴いて尻尾を振った、彼女は家族になりセネカだけでなく彼女の夫と娘達そして二匹の先住犬とも仲良くなって幸せに暮らした。自分に愛情を注いでくれた人の家で。

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