第二章
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「撮影してくるよ」
「わかったわ、じゃあ行って来てね」
妻は夫を笑顔で送り出した、そして。
ティムはカルガリーに入るとボブキャットの世話をいつもしているキャサリン=ライフェンシュタインもう八十を超えた老婆と会った。そしてだった。
ボブキャットの話を聞くとだった。
「それはまた多いですね」
「この街はそうなのよ」
白髪で丸眼鏡をかけた老婆は気さくに応えた、背筋はしっかりしていて足取りも喋り方も確かである。
「オリンピックだけじゃないのよ」
「そうなんですね」
「私の家でもね」
「中に入って来るとか」
「そうした時もあるし窓を拭いていたら」
その時にもというのだ。
「そこにいたらね」
「いたりしてですか」
「そうなの、それ位間近にいるから」
「じゃあ撮影もですね」
「思いきり出来るわよ」
「そうさせてもらいます」
ティムは老婆に笑顔で応えた、そしてだった。
実際に街の至るところにいるボブキャット達を撮影していった、野生の彼等は人を恐れずくつろいでいた。撮影されてもだった。
「ニャ〜〜〜」
「本当に怖がらないな」
「これがこの街の子達なのよ」
キャサリンがそのことに少し驚いているティムに話した、丁度街の中でくつろいでいる一匹を撮影したところだ。
「怒ると普通の猫より怖いけれどね」
「それでもですね」
「何もしないとこうだから」
大人しいからだというのだ。
「好き放題撮れるよ」
「いいですね、じゃあ滞在期間全部使って」
「撮るのね」
「そうします」
こう言ってだった。
テイムは実際に撮っていった、そして多くの写真を撮ってだった。
意気揚々とアラスカに帰った、今度の写真も好評で。
「行った介があったよ」
「それは何よりね」
「全くだよ、オオヤマネコもボブキャットも」
そのどちらもというのだ。
「撮れてね」
「よかったわね」
「オオヤマネコは偶然でね」
彼等の写真を撮れたことはというのだ。
「ボブキャットはわざわざ行ってね」
「そうして撮ったわね」
「その違いはあるけれど」
それでもというのだ。
「撮れてね」
「よかったわね」
「うん、じゃあこれからも」
「撮っていくのね」
「オオヤマネコもボブキャットも」
その彼等もとだ、ティムは妻に笑顔で話した。
「他の生きものもね」
「そうしていくわね」
「そして彼等の姿を皆に観てもらうよ」
こう言ってだ、ティムは妻に写真で得た報酬で買ったプレゼントを差し出した。それはオオヤマネコとボブキャットのぬいぐるみだった。妻はそのぬいぐるみ達を貰って夫に有り難うと笑顔で感謝の言葉を述べた。
人前の野生の猫達の姿 完
2021・
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