第一章
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人前の野生の猫達の姿
アラスカに住む写真家ティム=エートンはこの朝起きると妻のエミリーに対してまだ眠そうな顔で尋ねた。
「今日の朝ご飯は何かな」
「トーストとスクランブルエッグと昨日のシチューの残りよ」
「シチューはうんと温めてくれるかな」
ティムはこう妻に注文を付けた、黒い髭だらけの顔で髪の毛も目も黒だ、一九〇近い体格はしっかりとしている。金髪で灰色の目の妻とは二十五センチは背が違う。体重はもっとだ。その彼が太い声でこう言ったのだ。
「そうしてくれるかな」
「今朝も寒いからよね」
「そうだよ、アラスカはこの季節でもだよ」
「本当に寒いわね」
「だから頼むよ」
温めてくれというのだ。
「それもうんと熱くね」
「わかってるわ、私もね」
妻もこう夫に言った。
「寒いから」
「それならだね」
「熱くして」
そうしてというのだ。
「一緒に食べましょう」
「そうしよう」
夫婦で話してだった。
夫は窓のカーテンを開けて外から光を入れようとした、だが。
カーテンを開けてだ、彼は驚きの声をあげた。
「オオヤマネコがいるよ」
「あら、そうなの」
「それも一匹じゃない」
家のベランダの向こうにいる彼等を見て言った。
「母親が子供達を連れてる、合わせて」
「どれだけいるの?」
「八匹いるよ」
数えてから妻に答えた。
「それだけいるよ」
「それはまた多いわね」
「これは」
ここでだった、ティムは。
カメラマンの本性が動きすぐにカメラを取って来た、そしてだった。
オオヤマネコの母子を撮影しだした、窓を開けてそうして。
家の外にも出て撮影しだした、オオヤマネコは彼を見ても敵意はないこと察してか特に逃げることなく。
「ニャ〜〜〜」
「ナァ〜〜〜」
「ニャ〜〜オ」
「ウニャン」
「ミャ〜〜〜」
「ニャンニャン」
「ウニャア」
「ミャ〜〜〜」
「ア〜〜〜オ」
それぞれ好きに動いていた、ティムはその猫達をフィルムが尽きるまで撮影し。
満足した顔で家に戻った、そうして妻に言った。
「いい写真が撮れたよ」
「シチュー冷えたわよ」
折角温めたがとだ、妻は笑顔の夫に少し苦笑いになって返した。
「また温めるわね」
「御免、しかしね」
「いい写真が撮れたのね」
「うん、思わぬことだったけれど」
それでもというのだ。
「それが出来たよ」
「それは何よりね」
「全くだよ」
ティムはエミリーに満面の笑顔で応えた、そして温めなおされたシチューを中心とした朝食を楽しんだ。この時撮った写真は。
好評であった、それでだった。
「いやあ、いい写真が撮れたよ」
「売れたのよね」
「かなりね、まさかカーテンを開けたら」
「
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