ムーの民
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「ここは一体……! どこなんだあああああああああああああ!?」
ムー大陸の大空の下で、真司が叫んだ。
エコーがかかる真司の声だったが、帰ってくる声はない。
「グスン……誰かいないのかよ……」
真司は肩をがっくりと落としながら項垂れる。
「こういう時さあ……誰か一人くらいはいてもいいじゃないか? 携帯繋がらないし、俺なんか悪いことしたかな?」
真司はぐったりと膝を折った。
ほとんど茶色一色の遺跡。記者を目指す者としては特ダネの塊としてぜひ取材したいところではあるが、カメラなく気力なく体力なくの真司には、ムー大陸はただの石の塊でしかなかった。
「いきなりこんなところに……ひでえよ……」
真司は口を尖らせながらも歩き続ける。
『真司ぃ〜。クリスマスに恋人もおらずに暇を持て余していたお前に朗報だ。クリスマス開けもたっぷり仕事させてやる』と店長に言われてシフトに入ったのが三時間前。よりにもよって忙しくなり始めたころにムー大陸が出現した二時間前。現れた怪物たちが暴れまわる。騒ぎに乗じて隠れて龍騎に変身し、倒したと思ったら告知、即座にムーに飛ばされてから、もう一時間。
しかも、ムー大陸の遺跡の外側。冬の空にむざむざとさらされる状態なのである。
「へっくし!」
何より、バイトの制服のままムー大陸に連れて来られてしまったので、常に体を寒さが突き刺さる。
「うううう……寒い……制服、結構薄着なんだよなあ……」
鼻を擦り、真司は空を見上げた。天気は雪だったが、雲海の上にあるムー大陸上部からは、雲一つない青空が展望できた。
「あー……澄み渡る青空……だけどめっちゃ寒い!」
冬風に悲鳴を上げる真司。ムー大陸での立ち回りを考える前に、どうにかしてストーブでも探さなくちゃ、と考え始めた、その時。
「あ」
「……」
見覚えのある顔の人物が、丁度入ろうとした角より現れた。
その厳しい視線が、真司に突き刺さる。
「えっと……君は、確か……」
目の前の少女の名前が出てこない。真司は頭を抱えた。
「あ! 暁らむほ!」
銃声が、真司のすぐ頭の近くを穿った。
「暁美ほむらよ」
表情を一切変えない黒髪の少女、暁美ほむらはそれだけ言い残して背を向けた。
「あ、そうだそうだった! ほむらちゃん!」
去ろうとする彼女へ、真司は着いて行く。
「ねえ、ほむらちゃん。君もここにいるってことは、やっぱり……」
「話しかけないで」
ほむらが足を止めずに進める。
「いや、いやいやいや待ってよ!」
真司がほむらの先回りをする。なぜか魔法少女の姿のままの彼女は、うんざりした表情で「何?」と尋ねる。
「いや、ほらほ
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