第六百十三話 コーヒーにも入れるその七
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「そんなものね」
「科学的根拠はね」
「何もないわよ、むしろ混血してこそよ」
「そうそう、それぞれの長所を受け継いで」
「人間はよくなるのよ」
「それはあるね」
ルシエンもその通りだと頷いた。
「連合ではよく言われてるけれど」
「色々な人種や民族の血が混ざって」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「よくなっていくよ」
「そうよ、白人ばかりだとね」
「よくなる筈がないね」
「アジア系、アフリカ系と混ざっていって」
そうしてというのだ。
「よくなるのよ」
「連合だとね」
ウェンディは自分達の国の話をした。
「もうどの人もね」
「混血してるわね」
「私だってもう色々とね」
「混血してるでしょ」
「もうわかってる限りで三つの人種全てよ」
アジア系、ヨーロッパ系、アフリカ系のというのだ。
「混血してるわよ」
「そうよね」
「僕だってだよ」
ルシエンも言ってきた。
「白人の血も入ってるし」
「黒人の血もよね」
「入ってるよ」
それは当然という口調での言葉だった。
「もうね」
「そうよね」
「うちの理事長さんは物凄くアジア系の血が強いけれど」
八条義統のことだ、彼はその整った美貌から源氏物語の主人公光源氏に例えられているのだ。そのままアジア系である。
「けれど」
「理事長さんもね」
「混血されてるね」
「やっぱりね」
「混血してない人なんて」
復讐の人種や民族の血が入っていない者はというと。
「いないわね」
「連合だとね」
「だから白人至上主義なんて」
「もう連合にないし」
「エウロパがそれにこだわってるなんてね」
実際はこだわってはいない。
「もうね」
「ナンセンスというか」
「何でもないわね」
こう言うのだった、そして。
ウェンディは冷めた目でこう述べた。
「まあエウロパはそんな国だから」
「駄目なんだよね」
「ずっと未開の地でね」
「産業革命がたまたま起こって」
ルシエンも馬鹿にした口調で話す。
「そうしてね」
「威張っていただけでね」
「実はね」
「ああしたちっぽけな存在ね」
「何が優秀なのか」
ルシエンはこうも言った。
「僕にはわからないよ」
「私もよ、未開の地の野蛮人だったわよね」
「殺し合いばかりしてるね」
「宗教だの王位継承だのでね」
「それで延々と殺し合っていて」
欧州の長い戦乱の歴史の話もした、事実欧州はローマ帝国分裂以降第二次世界大戦まで実に多くの戦いがあった。
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