第十一話 テスト勉強その十二
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「やっと。お花が咲く様になったから。それがね」
「生まれたってことなんだ」
「お花が咲く子はそれが生まれるってことになるからね」
「お花がね」
「お花と葉は命の証なの」
そうだともいうのだった。
「それがあってこそなんだよ」
「ううん、そうなんだよ」
「そうだよ。それでね」
「うん、それで」
「その子が言ってたの。ハンバーグはね」
「人間なんだね」
「そうね。その通りだよね」
千春がそう言うとだ。希望もだ。
考えいぶかしむものは残っている。だがそれでもだ。
大筋においてはそう思えてきたのでだ。千春のその言葉に対して小さく頷いた。そしてそのうえでだ。またハンバーグを切ってそのうえでだ。
食べる。目玉焼きの白身とソースの味も楽しみながらだ。
千春にだ。こう答えたのだった。
「この色々入っている味もね」
「人間だよね」
「人間って簡単じゃないよね」
「色々なものが入ってるよね」
「このハンバーグみたいに」
中も外も。そうだというのだ。
「そうだよね」
「そうね。それでね」
「それで?」
「ハンバーグを食べたらね」
それからのこともだ。千春は言ってきた。
「希望はまた頑張るよね」
「うん、そうするよ」
希望は千春のこの問いにはすぐに答えて返した。
「頑張るよ。それであの家からはね」
「出るのね」
「いても仕方がないから」
あの両親と共に暮らしてもだった。
「だからね」
「じゃあね。頑張ろうね」
「勉強するよ。わかってきたから」
そうしてだと答え。そのうえでハンバーグを食べながら。
希望は誓ったのだ。実際に食べ終わって家に帰ってだ。
ランニングもしてシャワーを浴びてから勉強をした。それを続けたのだ。
時は経ち残暑が終わり秋に入った。制服も衣替えが行われた。
希望もそれは同じで詰襟でだ。七つボタンの詰襟姿の真人にだ。登校中にこう話していた。
「もうすぐ中間テストだけれど」
「頑張ってますね、本当に」
「うん。これからも頑張るけれど」
「今回のテストは特に」
「はじめたいから」
だからだとだ。希望は共に歩く真人に話した。
「新しい生活をね」
「ではやはりお家からは」
「出るよ」
真人にもだ。希望ははっきりと答えた。
そして秋の朝の、涼しくなった、もう少ししたら寒くなる朝の空気を感じながらだ。希望は答えたのである。
「もうね」
「そうですか」
「いいよね。もう」
「いいと思います」
真人もだ。微笑んで希望に答える。ここでもだ。
「あのお家におられてはもう」
「もうだね」
「あのご両親では仕方
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ