(俺+恋さん)÷民衆=ラーメン一杯二百元!
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「……うん、行く」
「よし来た! それじゃあすぐに行きましょう!」
うし! 恋さんが大喰らいで助かった! 結構手軽なところでお返しが出来そうだぞ。
とりあえず、適当に店を探していく。洛陽はでかい街だから、こういった食品店の種類に困ることはない。色々な人たちが出稼ぎに来ているし、豊富さは大陸屈指だろう。
ラーメン屋は、すぐに見つかった。う〜ん……スープの良い匂いが空腹に染み渡るぜ……。
すると、「く〜」という可愛らしい音が俺の隣から聞こえた。見ると、恋さんがわずかに顔を赤らめながら恥ずかしそうに俯いている。……どうやら、今のは彼女の腹の音のようだ。
恋さんは俺の袖を掴むと、潤んだ瞳をこちらに向け、言った。
「雹霞……おなか……へった……」
「……アメージング……」
素晴らしい。これはもはやランク付けするのもおこがましいほどの可愛さだ。五つ星を進呈しよう。
しかし、このまま恋さんの可愛さに悶えていては彼女が飢え死にしてしまう。比喩表現なんかじゃなく、ガチの方で。
俺は必死に視線を向けてくる恋さんに優しく微笑みかけながら、赤い暖簾をくぐった。
「へい! らっしゃい! お、これはこれは! 孫瑜さんに呂布さんじゃねぇか! 仕事中かい?」
「どうも。ま、そんなところですね」
店に入ると、店主らしき人物の威勢のいい声が俺達を出迎えてくれた。ちなみに言っておくと、俺とこの人は初対面である。だが、度重なる仕事のおかげで、俺はいつのまにかこの街でもそれなりの知名度を誇るようになっていた。今ではこのように、顔を合わせたことがないような人にまで、挨拶をしてもらえるまでになっている。うん、俺頑張った!
やけにハイテンションな店主さんに案内され、二人掛けの丸テーブルに落ち着いた。
「そんじゃあラーメン五人前よろしくお願いします」
「五人前? まだ誰か来るのかい?」
注文数と人数が釣り合わないためか不思議そうに首をひねる店主さん。うん、言いたいことはわかるよ、おっさん。俺も最初は信じられなかったけどさ……。
ちらり、と恋さんを一瞥し、苦笑交じりに、
「……ちょっと、育ち盛りの武将サマがいてさ……」
「あー……よし、了解だ! 腕によりをかけてそのすきっ腹を満足させるご機嫌なデキのラーメンを作ってきてやるぜ!」
どうした店主。突然の熱血キャラは周囲がついていけないぞ。
若干心配が残るものの、料理が来るまでの間大人しく待つしかあるまい。恋さんと雑談でもしておこう。
さて、何を話したものか――――
「……ん?」
会話のきっかけを模索しようとした矢先、俺の視界にストラップらしき物体が映り込んだ。
茶色い毛並みの子犬。恋さんが自室で飼っているセキトにそっくりなストラップ
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