第五話 入学間近その五
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「犯罪だから」
「問題外ね」
「覚醒剤なんか本当に煙草より遥かに身体に悪いから」
「そうよね」
「何があってもしないことよ、犯罪やって身体ボロボロになるっていいことないでしょ」
「何一つね」
「だからよ」
それでというのだ。
「麻薬はね」
「絶対にしたら駄目ね」
「したら本当にお母さんあんた警察に連れて行くわよ」
母の言葉は真剣なものだった。
「絶対にね」
「犯罪だから」
「そうよ、しかもね」
「身体ボロボロになるから」
「娘がボロボロになっていい母親なんていないわよ」
こう言い切った。
「この世にね」
「やっぱりそうよね」
「そう、若しそうなったら」
それこそというのだ。
「親としてどれだけ悲しいか」
「それでなのね」
「そう、その時はね」
麻薬、それに手を出した時はというのだ。
「許さないわよ」
「そうなのね」
「覚えておくのよ」
「その時は警察ね」
「それで罪を償って帰ってきなさい」
「お家は追い出さないの」
「娘なのにどうして追い出すのよ」
母はこうも言った。
「一体」
「娘だからなのね」
「自分の子供だからね、だからね」
「私が警察に捕まってもなのね」
「罪を償ったらね」
その時はというのだ。
「帰ってきなさい」
「そうしていいの」
「若しそうなってもね、ただそうならないことがね」
そもそもというのだ。
「前提よ」
「そうなのね」
「そう、そしてね」
「そして?」
「あんた今日はご飯食べたらどうするの?」
今度は予定を聞いて来た。
「また愛ちゃんのところに行くの?」
「いや、今日は行かないわ」
「そういえばゲームするとか言ってたわね」
「ライトノベルとか漫画読んでね」
「ゆっくり過ごすの」
「明日もね、そうしてね」
そのうえでというのだ。
「入学式よ」
「明後日ね」
「いよいよ私も高校生ね」
「これまで長かったでしょ」
「子供の頃高校生になるなんて」
それこそというのだ。
「遥か昔だってね」
「思っていたのね」
「本当にね。けれどね」
「明後日ね」
「いよいよそうなるのね」
「行っておくけれどそれ大人になったらね」
それならとだ、母は娘に話した。
「あっという間よ」
「そうなの」
「あっという間に大学卒業して就職して」
そうしてというのだ。
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