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イベリス
第五話 入学間近その二

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「そうしていくわね」
「これからもね、それで徹夜はね」
「しないことね」
「忙しても少しでも寝る」
 母の言葉は強いものだった。
「そうしなさいね、絶対に」
「絶対になの」
「間違っても二日とか三日の徹夜はしないことよ」
「それ無茶苦茶でしょ」
「昔の漫画家さん、手塚治虫さんや石ノ森章太郎さんはそうだったの」
「二日も三日も徹夜してたの」
「一日どころかね」
 娘にこの話もした。
「そうだったのよ」
「三日って」
「若い頃はそうしても平気とか言ってたのよ」
「それって身体無茶苦茶疲れるでしょ」
「だからこの人達は若くしてだったのよ」
 眉を曇らせての言葉だった。
「そうなったのよ」
「若い頃の無理が祟ってだったのね」
「そう、一日の徹夜でも駄目よ」
 徹夜、それはというのだ。
「本当に寝ないとね」
「人間駄目なのね」
「寝ないと本当にね」 
「無理が祟って」
「若くしてになるから」
「だから寝ろって言うのね」
「ちゃんとね。基本夜にじっくり寝て」
 そうしてというのだ。
「幾ら忙しくてもね」
「少しでも寝ることね」
「そうしなさいね」
「さもないと身体によくないのね」
「そんな三日も徹夜していたら」
 それこそという口調での言葉だった。
「若くしてってなるわよ」
「その時はよくてもなの」
「絶対に身体に疲れが溜まるから」
「寿命を縮めるのね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「咲もよ」
「寝ることね」
「夜にしっかりとね。いいわね」
「わかったわ」
 咲も頷いて答えた。
「それじゃあ今日もね」
「朝起きたしね」
「このまま頑張るわ」
「そういうことでね」
「わかったわ、じゃあお昼はラノベとか漫画読んでゲームして」 
 そうしてというのだ。
「夕方またね」
「モコのお散歩ね」
「行って来るわ。モコもそれでいいわね」
「ワン」
 今はケージの中にいる愛犬も鳴いて応えた。咲はそれも見て母に言った。
「モコもそうしてって言うし」
「それじゃあよ」
「そうしていくわね」
「ええ、それとね」
「それと?」
「あんた最近牛乳結構飲むわね」
 今丁度牛乳を飲んでいる咲に言った。
「どうしてなの?」
「いや、飲むと背が高くなってね」
 咲は飲みながら答えた。
「それで胸もね」
「大きくなるからなの」
「前から飲んでるわよ」
「そういえば前からね」
「そう、だからね」 
 それでというのだ。
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