第十一話 テスト勉強その六
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「とてもね」
「そうだよね。それと他には」
「中華街でね」
「歩いて。楽しかったよね」
「二人で歩くだけでね」
どうかとだ。希望は言うのだった。
「とても楽しくてね」
「そうよね」
二人で話す。そしてだった。
二人で真人に対してだ。こう話したのである。
「できればまたね」
「二人で行きたいと思ってるんだ」
「いいですね。それならです」
「うん、機会があればね」
「一緒に行って来るね」
「そうして下さい。ただ」
微笑み、優しいそれと共にだ。真人は二人にこうも言った。
「電車に乗る時はです」
「あっ、その時はだね」
「他の時と同じ様に楽しんで下さいね」
「わかってるよ。それはね」
希望は目を細めさせて真人のその言葉に頷いた。
「友井君と同じ様にね」
「そうして頂くと何よりです」
「わかってるよ。だから安心してね」
「はい、その時は」
二人、今度は希望と真人でこうした話をしたのである。そして千春はその二人を横から見てだ。そのうえで希望に対して少しきょとんとした顔で尋ねた。
「あの、どうしてなの?」
「あっ、今の僕達のやり取りだね」
「うん。電車の中でも楽しんでって」
「友井君は鉄道マニアなんだ」
所謂だ。鉄ヲタた鉄っちゃんと呼ばれる人間だというのだ。
「子供の頃からね」
「そうだったんだ」
「実はです」
千春にも笑顔を向けてだ。真人は話した。
「大学を卒業したらです」
「その時はなのね」
「その時は鉄道会社に入りたいと思っています」
「車掌さんになるの?」
「それになれなくてもいいです」
そうした欲はないというのだ。車掌になるというだ。
「ただ。列車をいつも傍で見たいだけで」
「それでなの」
「そうです。僕はそれだけで満足です」
「友井君って欲ないんだね」
真人のそうした話を聞いてだ。千春は彼の本質を察した。
「それだけでいいって」
「少なくとも欲が深いつもりはありません」
「そうだよね。希望と同じでね」
「無欲ですか」
「そう思うよ。無欲だとね」
どうかとだ。千春はにこりとなって言った。
「それだけ沢山貰えるよ」
「いや、それはやっぱり」
「逆ではないですか?」
「ううん、違うよ」
にこりとしたままだ。千春は希望と真人に話したのだった。
「欲があると神様は見てるから」
「神様が見てるから」
「だからなんですか」
「そう。だからね」
それ故にだというのだ。
「欲がある人には神様は一杯あげないから」
「それなら欲がないと」
「そうした人には」
「そう、一杯あげるんだよ」
か
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