最終章:無限の可能性
第294話「エピローグ」
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と遊んでいるとか?あの子、人見知りがだいぶ緩和されていたし、ここから離れていてもおかしくないもの」
「それはありそうだねー」
何度も呼びかけながら探すヴィヴィオを見ながら、緋雪達は憶測を言う。
「……それで、本当にいるのかしらね」
「優奈だって、感じ取ったんだろう?」
「私は微かに、ってだけよ。貴方と違って、転生の気配までは分からないもの」
小声で緋雪達に聞こえないように優輝と優奈は話す。
すると、近くの茂みから草を掻き分ける音が聞こえてきた。
「あ、久遠!」
「久遠と……もう一人?」
茂みから見える狐耳に、ヴィヴィオが駆け寄る。
その時、椿が久遠以外にもう一人いる事を察知する。
「っ……!?」
「あれ?久遠、その子は?」
息を呑む緋雪達。
それを余所にヴィヴィオは久遠が連れている少女について尋ねた。
「さっき、見つけた」
「見つけたって……迷子?」
「多分」
その少女は、ヴィヴィオよりも僅かに年下ぐらいの背丈だった。
長い銀髪に加え、血のように赤い瞳。
幼い見た目になったとはいえ、その容姿に緋雪達はあまりにも見覚えがあった。
「………!」
「え、え?どうしたの?」
故に、緋雪達はいつでも動けるように構えていた。
それに気づいたヴィヴィオはその突然の臨戦態勢に困惑している。
「……本当にいたわね」
「言った通りだろう?」
そんな中、優輝と優奈は平然と件の少女へと近づく。
「……名前を聞いてもいいかい?」
膝を曲げ、視線を合わせて優輝は少女に問う。
優奈はその間、臨戦態勢の緋雪達を落ち着かせるために手で制していた。
「……イ…あ、えっと、アイリス……です」
少女は優輝をじっと見つめ、何度か逡巡した後、そう名乗った。
姓はなく、言い直した様子から明らかに普通ではないと思われる。
それでも、優輝は優しく微笑みかける。
「うちに来るかい?」
「……!はい……!」
親の事や、事情を聞かずに優輝はそう語りかけた。
本来ならば事案とも取れる発言だ。
しかし、少女……アイリスは顔を輝かせて了承した。
「お、お兄ちゃん。その子ってもしかして……」
「ああ。緋雪達の想像した通りだ」
緋雪達もここまで来れば何となくわかる。
彼女こそが、あのイリスの転生体なのだと。
「ほら」
優輝が手を差し伸べ、アイリスがその手を掴む。
かつては争った仲だが、今はそのしがらみもない。
“性質”に囚われずに優輝と触れ合えるようになったからだろうか。
その記憶があるのだろうか、アイリスはどこまでも穏やかな笑みを浮かべて
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