苦労する運営
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白い小動物、キュゥべえ。彼は、ハルトの前に降り立ち、『きゅっぷい』と首を鳴らす。
『君は初めましてだね。ガンナーのサーヴァント。僕はキュゥべえ。コエムシと一緒に聖杯戦争を運営させてもらってるよ』
「ならば苦情を言わせてもらおうかしら。いきなりこんな閉鎖空間に引っ張ってきて、何のつもり?」
リゲルはキュゥべえへ大砲の銃口を向けた。すぐそばには発射口があるというのに、キュゥべえは全く動じない。
ハルトはリゲルの肩をポンと叩いた。
「止めておいたら? そいつ、一切感情ないから」
『よくわかってるじゃないか。ウィザード』
キュゥべえは顔色一つ変えずに言った。
『この事態は参加者の一人が引き起こし、モノクマがそれに乗じて許可しただけのこと。僕たち監督役がどうこうすることではないよ』
『そんな先輩!』
『コエムシも、少しは落ち着いて。それに、見滝原とムー大陸、場所がどこでも君たちに関係あるのかい? 結局は閉鎖空間の中で戦う。見滝原であろうと、ムー大陸であろうと。そこに、何も問題ないじゃないか』
「大有りよ」
リゲルがキュゥべえの襟首を掴み上げる。動物虐待のような絵面だなとハルトは思ったが、リゲルは続ける。
「今夜のクリスマスアフターセールに間に合わないじゃない! マスターを飢え死にさせる気?」
「そっちかい!」
『食料問題のない今のうちに聖杯戦争を終わらせればいいじゃないか。今の君は、まずウィザードを倒すことを考えるべきだと思うけど』
『……』
リゲルは横目でハルトを睨んだ。
ハルトは両手を上げる。
「やめてよ……今、それで争ってる場合じゃないでしょ」
「……そうね」
リゲルはキュゥべえを離した。
『もういいわ。監督役に頼ろうとした私がバカだった……』
『分かってくれればいいよ。それじゃあ、聖杯戦争はしっかり行ってね』
キュゥべえはそれだけ言い残して、屋根伝いにムー大陸の奥へ消えていった。
取り残されたコエムシは、唖然としてその様子を見送る。
『……おい先輩!』
「で? あなたは?」
『え?』
取り残されたコエムシは、ただ一人、リゲルの視線に晒されることになった。怒りを込めた眼差しの彼女に、コエムシは体を振動させている。
「あなたもここで戦えと? それがあなたの望む聖杯戦争なのかしら?」
『いや……あの……その……』
コエムシの目が泳いでいる。やがて。
『わーったよ! ちょっくらモノクマ先輩に文句言ってきてやるよ! そもそも、こんな古く臭えところじゃ、まともに運営なんてできねえし! じゃ、行って……』
コエムシは、そこで動きが止まった。プルプルと震え、
『また苦情かよ! こんなことに
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