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黒猫現る 少しの夢を見させる おばぁさん編
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 その夜、1年ぶりに会った彼と海辺の突堤に居た。彼は私の手に重ねてきた。私、そのまま、じっとしていた。すると、手を握り直して指を組むようにして、

「好きだよ、和ちゃん」

「私も」と、握り直した。

 でも、月明かりで見えた私の手。シワだらけ、脚も、顔に手をやるとカサカサでツヤも無い。どうして、ひまわりのサマードレスを着ていて、若いのに、身体はおばぁちゃんだ。何なのこれは、どうして!。そうだ、私、確か82才。

 
「僕は、来年、就職するけど、離れていても、付き合って欲しいんだ」

 私は、「ええ」って言ってしまったけど、この人はからかっているんだろうか、私が見えてないんだろうか。抱きしめられて、キスをされた。でも、私、嬉しかった。

「向こうへ行って、泳ごうよ」

 手を繋いでくれて、岩場の向こうにある小さな浜に歩き出した。着いて、月明かりが海面を照らして、シワだらけの私を抱いて、もう一度キスをしてくれた。彼は、着ていた服を全部脱ぎだしたら

「和ちやんもおいでよ、泳ごう」

 と言って、海に入って行った。彼の裸の身体が眩しい。私、どうしよう、一緒に行きたいけど、こんな身体、見せられないし、この年で海なんか入れない。でも、思い切って、着ているサマードレスだけでもと、すっぽり頭から脱いでいった。

私、ピンクのレースに飾られたブラとパンティなんだ。まるで、若い娘が付けているような。胸だって張りがあって、お腹だってツヤツヤしている。私、あの時に戻っているんだ。恥ずかしい。でも全部脱ぐと、月明かりで私の身体は白く輝いて見えたのだ。私は、彼の後を追いかけて、海へ入って行った。

 二人して、抱き合って海の中にもぐったり、何度もキスしたり、私、彼のあれを感じたりした。海から出てきて、彼が服を敷いてくれて、私と抱き合って寝そべった。彼は私の身体中をやさしくキスしてくれて、「好きだよ」と何度も言ってくれた。「めちゃめちゃにして、今だけのこの若い身体を、私の全部を奪って」 私は、頭ん中が朦朧としながら「あなたが欲しい、私に入ってきて」とあえぎながら言ったと思う。すると、あそこから全身に鋭い痛みが瞬間、走った。私は思いっきり彼を抱きしめていた。「もっと、きて、もっと奥まで入ってきて」

 私は幸せの絶頂を迎えていた。
 
 - - - - - - - - - - ★ ★ ★ - - - - - - - - - -

 「その幸せを想い出として大切にして生きていきな」と言って黒猫は消えて行った


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