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おぢばにおかえり
第六十四話 阿波野君と先輩その十

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「けれどあの高校でそんなことがあったのね」
「そうみたいね」
「軽い気持ちで言っても」
 それでもというのです。
「それがなのよ」
「人の心を傷付ける」
「そうしたことがあるから」
「だからよね」
「ええ、千里はいつもその人のことお話して」
 先輩のことをというのです。
「尊敬していることはわかるわ」
「心からね」
「とてもいい人ってこともね」
「人柄もよくてしっかりしててね」
「そうよね、けれどね」
「人は色々な面があるのよね」
「このことは前にも言ったわね」
 それも何度かです、だから私も覚えています。
「そうでしょ」
「ええ、覚えてるわ」
「そうね、だからね」
「先輩には残酷な一面もあるのね」
「多分あの人がやった後で気付いたと思うわ」
 自覚はなかったというのです、ご自身の悪い一面について。人はそうしたこともあることは私もわかっているつもりですが先輩もというのです。
「それで反省したの。けれどね」
「それでもなのね」
「してしまったことは戻らないから」
 だからだというのです。
「された人がおみちを大嫌いになってもね」
「そのこともなのね」
「戻らないのよ」
「そうなのね」
「折角天理高校行ったのに」
 おみちの学校にです。
「それでおみちの人に色々されて大嫌いになったら」
「残念よね」
「これだけ残念なことはないわ」
「それで先輩は」
「そんなことを。それも最初にしたのね」
「先輩が中心になってその人を最初に攻撃してね」
 先輩が言われるにはです。
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