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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
第百二話 荀ケ、帝を甘やかすのことその三
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「それで祝福の方は鳳統や呂蒙と一緒にいたし。劉備殿もおられたわね」
「何かあんたも色々あるんだな」
「あるわよ」
 その通りだとだ。ブラバーマンに答える。
「人間生きていれば色々あるからね」
「いや、幾ら何でも色々あり過ぎだろ」
「そうだよな」
「あんたの場合は」
「とりわけ」
「ううん、最近は麻雀もしてるし」
 今度はそれだった。
「そっちはもっと凄いから」
「何だよ、将棋じゃないのかよ」
「麻雀よ」
 杯を左手に持ちだ。右手で将棋を指しながら話す。
「そっちなのよ」
「麻雀な。あれな」
「色々やってるから。ああ、そっちと祝福の方には凛もいたわ」
 彼女もだ。いたというのだ。
「結構以上に面白いでしょ。私の人生も」
「それ一つの人生じゃないだろ」
 将棋の相手は覇王丸だった。彼も将棋を指しながら飲んでいる。
 そうしながらだ。荀ケに言うのである。
「あんたの中身のそれぞれの人生だろ」
「そう言うかも知れないわね。まああれよ」
「あれって何だよ」
「中身の話をしたら凄いことになる人は一杯いるじゃない」
 そうだというのだ。
「ほら、東丈だってね」
「ああ、華陀に似てるよな」
「何故か知らないけれどな」
「そっくりだよな」
「そういうことよ。言えばきりがないのよね」
 自分で言う荀ケだった。
「まあそういうことよ。それでね」
「むっ、そう来たか」
「さて、どうするのかしら」
 悠然と笑ってだ。荀ケは覇王丸に尋ねた。
「王手よ」
「くそっ、参ったなこりゃ」
「あんた将棋はあまり強くないの?」
「あまりしたことはないからな」
「そうなの。そういえばずっと剣一筋だったわよね」
「だからな。将棋はなあ」
 あまり得手ではないというのだ。
「曹操さんなんか碁の達人だけれどな」
「華琳様はそうしたこともお好きだから」
「それでか」
「そうよ。華琳様は碁でも無敗よ」
 ここで曹操への崇拝も見せるのだった。
「帝にも御教授されてるし」
「それはあんたもだろ」
「私も?」
「ああ、そうだよ」
 覇王丸は荀ケの王手に対して逆に攻めの手を打ちながら返した。
「あんたも最近帝の前に出てるよな」
「帝は素晴らしい方よ」
 何故かだ。荀ケの顔がにこやかになってきた。そのうえでの言葉だった。
「もうね。お奇麗で愛らしくて」
「確かに人形みたいな方だよな」
「しかも聡明で」
 殆んどのろけになっていた。
「やっぱり一国の主よね」
「皇帝として相応しいか」
「そう思うわ」
 何時の間にかだ。荀ケはとろけそうな顔になっている。
 それでだ。さらに言うのだった。
「だからこそ私もね」
「帝が好きなんだな」
「敬愛しているわ」
 そこまでだというのだ。そしてだ。
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