新しいムー帝国
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
『チョーイイネ キックストライク サイコー』
『ゴー キックストライク』
二つの蹴りが、ファントムを爆発させる。
人気がいない場所に移動してから、それぞれは変身を解除する。
「ふう……まさか、こんなときにファントムが出てくるなんてね」
ハルトはため息をついて、ルビーの指輪をホルスターに収める。
コウスケは肩を回して、「まあな」と答える。
「さてと。それじゃ、響をどうやって助けるもんかね……」
「そもそも、どこにいるか分からないのがね」
「皆まで言うな。範囲は見滝原に絞られてんだから、あとは探せばいいだけだろ?」
コウスケはそう言って、指輪を付け替える。
「探せばいい?」
『グリフォン ゴー』
ハルトの疑問に、コウスケは魔法で答えた。彼の前に出現する、緑のプラスチック。それは自らを定めた形へ当てはめていく。それはやがて、幻獣グリフォンの姿形となった。
「使い魔か?」
「ああ。グリフォンってんだ。可愛いだろ?」
「可愛い……か?」
指輪をはめてグリフォンを完成させる様子を見ながら、ハルトは首を傾げた。
すると、グリフォンは「可愛いだろ!」と言わんばかりにハルトの頭を小突いた。
「痛っ!」
ハルトは痛みを訴えながら、公園の彼方へ飛び去っていくグリフォンを恨めしそうに睨んだ。
コウスケはそれを見ながら尋ねる。
「お前の使い魔は?」
「え? 今出払ってる。ファントム探しのためにあんまり俺の手元にはいないんだよね」
「つーことは、人手は増えねえのか」
「ごめん。……ん」
ハルトのポケットの携帯が着信を知らせる。見てみると、可奈美から『電話した?』とのメッセージが記されていた。
「どうした?」
「ああ、可奈美ちゃん。もともと、ここには可奈美ちゃんを探しにきたんだ。えっと、『どこ行ったのか心配しただけ』と」
「お前も結構過保護だな」
「うるさい。一応年上だしな。あ、もうラビットハウスに戻ってるんだ。入れ違いになっちゃったな。……さてと」
送信を終えたハルトは、顎に手を当てた。
「響ちゃんを探すにしても、手がかりが欲しいよね。見滝原と言ってもかなり広いから」
「だな。流石に人がいるところにはいねえだろ」
「だったら、この前みたいな山の中とか?」
「あとはスラム街だな」
「スラム街?」
日本ではなかなか聞かない言葉に、ハルトは首を傾げた。
コウスケは頷く。
「何でも、昔見滝原を発展させるための工業地区が見滝原南にあったんだけどよ。事故で爆発が起きて、孤島になっちまったんだよ」
「孤島?」
「ああ。川に囲まれてな。んで、そこは色んなやべえ連中がたむろしてるっつー話」
「うわ、お誂え向きすぎるでしょ」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ