第百一話 帝、劉備を信じるのことその八
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「今こうして私の前に出ません」
「ええと、ここに来たのはですね」
「その噂を否定する為ですね」
「朱里ちゃん達に言われまして」
このことも素直に話す劉備だった。
「それでお手間をかけますが」
「そうですね。それに劉備の話を実際に聞いてますと」
そこからもわかるというのだ。
「劉備は絶対に嘘は吐けません。劉備は叛意を抱いていません」
「おわかりになられるんですね」
「その目もです」
目も見ていた。帝は一つのことだけで判断してはいなかった。既にわかっていることでもだ。そうして確めることも忘れていなかった。
それでだ。全てを見たうえでだ。劉備に話すのだった。
「劉備の目は奇麗ですから」
「有り難うございます」
「澄んだ目の持ち主は嘘を吐きません」
そうだというのだ。
「目は全てを出してしまいますから」
「じゃあ私を」
「信じています」
微笑みだ。劉備に話した。
そしてだ。そのうえでだった。
再度だ。劉備に言うのだった。
「それでなのですが」
「それで?」
「今の皇帝は私ですが」
こう前置きしてからだ。劉備に話すのである。
「次の帝をもう決めていなくてはなりません」
「そうですね。太子ですね」
「はい、それを今決めます」
「えっ、今ですか」
「またああした噂が出てもおかしくありません」
こうも言うのだった。
「それでなのです」
「ええと、といいますと」
「劉備、貴女をです」
微笑んだままだ。劉備に話す。
「太子に定めます」
「私をですか」
「はい。次の皇帝は貴女です」
また劉備に告げる。
「貴女はこれから太子でもあります」
「そんな、私が次の皇帝って」
「劉氏ならばです」
問題ないというのだ。
「私には兄弟姉妹もいませんし子もいませんし」
「御子ならまた出来るのでは?」
「しかし貴女以上に相応しい人物はいません」
皇帝にだというのだ。
「ですから」
「私をですか」
「次の皇帝、太子に定めます」
あらためて劉備に告げた。
「では宜しく御願いしますね」
「は、はい」
劉備の言葉に応えてだ。そうしてだった。
劉備は噂を否定されただけでなくだ。太子にも定められた。このことにだ。
舞は笑ってだ。雑煮を食べながら仲間達に言うのだった。
「まさに雨降って地固まるね」
「そうだよな」
「確かにそうなったね」
テリーとアンディが彼女のその言葉に笑顔で頷く。
「あの噂が流れた時はまずいって思ったけれどな」
「それが消えただけじゃなくて」
「太子にも定められるなんてな」
「凄いことじゃない」
「それだけ劉備さんに徳があるってことよね」
舞は雑煮の餅を箸に取りながら話す。
「ああ、そうだな」
「そうなるね」
テ
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