第三百四十四話
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第三百四十四話 塾の後でも
華奈子は学校の勉強についての塾が終わってから美奈子と一緒に帰った。そうして家でこう言った。
「色気ってあたし達にはね」
「ないわね」
美奈子の今度の返事はあっさりとしていた。
「私達には」
「子供だからね」
「小学生で色気って」
「有り得ないわね」
「そんなことあったら」
それこそというのだ。
「本当にね」
「怖い位ね」
「だからね」
「今どうこう言えないの」
「先生位の年齢になって」
そうしてというのだ。
「備わるのかしら」
「色気っていうのは」
「そうじゃないかしら」
こう言うのだった。
「だから今あれこれ言ってもね」
「仕方ないのね」
「そうじゃないかしら」
「ううん、かなり先のことなの」
「ええ、大人になって」
そうしてというのだ。
「それからじゃないかしら。大学を出てね」
「本当に遥か未来ね」
華奈子は眉を顰めさせて言った、まだ小学生なので大学を出る頃のことはもう遥か未来のことにしか思えないのだ。
それでだ、こう言ったの。
「あたし想像もつかないわ」
「私もだから」
「そんな先のことは」
「だからあれこれ言うことは」
「無理なのね」
「今はね」
小学生の自分達ではというのだ。
「やっぱり」
「じゃあ考えても意味ないのね」
「将来に考えることでしょ」
「それもずっと未来に」
「ええ、ただお洒落はね」
これはとだ、美奈子はあらためて言った。
「いいと思うから」
「していったらいいのね」
「そう思うわ」
「そっちはいいのね」
「私達のそれをね」
美奈子はこのことはわかって言えた、そうしてそのうえで華奈子と塾の授業の復習をはじめた。二人にはまだ色気は想像も出来ないものだった。
第三百四十四話 完
2021・2・18
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