最終章:無限の可能性
第293話「平和に向かって」
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ましょう」
荒れ果ててはいるが、特に手掛かりはない。
後の捜査は管理局に任せるとして、優奈達は改めて人の集落へと向かった。
「あ」
「えっ?」
街に着いて散策をして状況の把握をしていると、バッタリと誰かに出くわす。
気づいたような聞き覚えのあるその声に、緋雪は思わずそちらを見る。
「……お兄ちゃん?」
「……まさか、ここにいるなんて……なんて偶然よ」
その人物は、優輝だった。
厳密には転生したため“志導優輝”ではないが、容姿は間違いなく優輝だ。
「他人の空似とかじゃなくて、間違いなく?」
「ええ。対面すれば分かるわ。間違いなく優輝の転生体よ。……おまけに、どうやら記憶もちゃんとあるようだしね」
どことなく気まずそうにする優輝を余所に、優奈が断言する。
「……パパ?」
すると、そんな優輝の服の裾を後ろに隠れていた少女が引っ張る。
「え、あ、その子……」
「……私の記憶が確かなら、その子に見覚えあるのだけど……」
金髪に右目が翡翠、左目が紅色のオッドアイの少女だ。
その姿に、優奈達全員が見覚えあった。
正確には、その少女を少し成長させた姿だが。
「……オリヴィエ……ううん、ヴィヴィオ、だよね?」
「ああ。違法研究所から偶然見つけて、な」
その少女は間違いなくヴィヴィオだった。
違法研究所、という事は先ほど優奈達がいた研究所の事だろう。
そこから保護したのだろうと、優奈達は結論付ける。
「パパ、この人たちは……?」
「怖がらなくていいぞ。彼女達は僕の、そしてヴィヴィオの家族だ」
「パパの、家族……」
警戒はしているが、優輝が平然としているからかいくらか怯えは薄れていた。
それを見て、優奈達もあまり刺激しないように一旦落ち着く。
「もしかしてだけど、その子を保護してたからそっちから会いに来なかったの?」
「……まぁ、そうなる、な」
周りを見れば、優奈達には街の人から注目が集まっているが、優輝達は普通だ。
つまり、保護した後しばらくここで暮らしていたのだろう。
「はぁ……まったく。とりあえず、記憶があった事とすぐ再会しようとしなかった事はこの際いいわ。そういう“可能性”だったんだし」
そう言って、呆れながらも優奈は納得して下がる。
同時に、緋雪の背を少し押した。
「ほら、緋雪」
「うん」
一歩、緋雪は前に出る。
何はともあれ、再会できたのだ。
ならば、言う事は一つだった。
「……お帰り、お兄ちゃん」
「ああ。……ただいま、緋雪」
平和に向かうその“可能性”の先にて、優輝は帰ってき
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