第百一話 帝、劉備を信じるのことその五
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「ここでね」
「一気にですね」
「我等が宮廷を抑える」
「そうしますか」
「ここで」
「宮廷を抑え。そして帝を追いやって」
そしてだ。さらにだった。
「この国を破壊と混沌で塗り替えるわよ」
「そして定軍山で夏侯淵達を消し」
「それを狼煙としてですね」
「ええ。オロチ達と一緒にね」
国を一気に自分の色に塗り替えようというのだ。司馬尉は策を一気に進めようとしていた。
それでだ。今はだった。
兵を宮廷に進ませることを決めたのだった。しかしだった。
実際に兵を率いる司馬師と司馬昭が見たものは。
何と宮廷にだ。既にだった。
兵達がいてだ。こう彼女達に言ってきたのだ。
「何故こちらに来られたのですか?」
「何の用件でしょうか」
「そ、それは」
「宮廷の警護に」
「それは私達がやることになったから」
兵達を前にして戸惑いを隠せない二人の前にだ。馬岱が出て来て言うのだった。
「心配無用よ」
「そういう訳にはいかないわ」
「帝を御守りしなければならないじゃない」
司馬師と司馬昭は必死になって馬岱に食い下がる。
「だからよ。今は」
「貴女は兵を退きなさい」
「蒲公英達帝から許しを得たんだけれど」
しかしだった。馬岱は既に先に進んでいた。食い下がってくる二人に悠然と笑ってだ。そのうえでこう言ってきてそれからだった。
懐からあるものを出してきた。それは。
「くっ、それは」
「帝の」
「これでわかったわよね」
それは帝の勅書だった。皇帝の印まである。
それも見せてだ。二人に話すのである。
「ちゃんと帝がお許しになられたのよ」
「ではここはというの」
「貴女が守るというの」
「そうだよ。だからね」
それでだとだ。二人にさらに告げる。
「あんた達はお家でゆっくりしていて」
「仕方ないわね」
「それじゃあね」
これ以上ごねては疑念を抱かれる。二人もこう考えてだった。
渋々ながら兵を退かせた。そのうえで帝に劉備の叛意を言う為に屋敷を出ていた司馬尉に対してだ。合流したうえで話した。
それを聞いてだ。司馬尉は。
忽ちのうちに苦々しい顔になってだ。場所の中から言うのだった。馬車はあの西洋のものを思わせる馬車でだ。そこから顔を出して言うのだ。
「今回は退くしかないわね」
「それではですか」
「今回の噂の件はですか」
「失敗に終わりましたか」
「最早」
「ええ、失敗よ」
その通りだとだ。司馬尉はその苦々しい顔で答えた。
「まさか。先に兵を置かれるとはね」
「まさかと思いますが」
「読まれていたのでしょうか」
「そうでしょうね。読まれていたわ」
実際にそうだとだ。司馬尉は妹達にまた答えた。
「おそらくは」
「おそらくは?」
「といいますと」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ