ムー大陸復活
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がら、ハルトは頷いた。
「今日のシフトって……ココアさんと可奈美さんです。あと、リゼさんも来てくれるそうです」
「そっか。ところで、ココアちゃんは……なんであんなに落ち込んでるの?」
ハルトの隣で、ココアが机に座りながら白目を剥いている。口から魂が飛び出していそうな彼女を、チノが説明した。
「珍しく一番に起きて、パンを焼いてビックリさせようとしたみたいです。実際は可奈美さんは今言った通り、私も倉庫にいただけだったので、ハルトさんの次にお寝坊さんだったという事実にショックを受けているそうです」
「あははは……な、なんか……気にしないで」
「私……お姉ちゃんなのに……」
消え入りそうなココアのそんな声を聞きながら、ハルトはベーコンエッグの最後の一口を飲み込んだ。
味がしなかった。
駐輪場にマシンウィンガーを停め、ハルトは見滝原公園に足を踏み入れた。
いつも大道芸を披露している噴水広場を素通りし、湖がある公園の中心へ急ぐ。
可奈美がよくこの湖の周囲で走っていることは何度か聞いていた。だが、存外広いこの公園では、中々可奈美一人を見つけることは難しかった。
その代わり。
「お前ここで何してんの?」
「見りゃ分かんだろ? 飯だよ飯」
湖近くの芝生にテントを張り、コンパクトな機材で焼き鳥を焼くコウスケを見つけた。
「今日の朝飯だ。お前も食うか?」
コウスケはにっこりと焼き鳥をハルトに差し出す。ハルトはそれを断りながら、テントへ目を移す。
「お前こんなところで寝泊まりしてんの? 雪だよ? 寒くないの?」
「全然」
コウスケはさも問題なさそうに言い切った。
「俺、ビーストだからな。夜寝るときはいつも変身して寝てんのよ」
「寝袋替わりに変身……まあ、やったことあるけどさ」
「おお!? お前もあるのか!? いいよなあ、魔法使いの変身。実は保温性に優れるおかげで風邪ひかねえし。響にも変身して寝ろっていったら案外心地いいって言ってたぜ」
「そうだ、響ちゃん!」
ハルトは声を荒げた。
「その、ごめんな。バングレイにさらわれるの……防げなくて」
「気にすんな。ほい、これ食え」
コウスケは二本目の焼き鳥を渡してきた。ハルトは今度は断れずに受け取り、頬張る。
「旨いか?」
「……うん、そうだね」
全て平らげて、ハルトは言い直す。
「なあ、どうすればいいんだろう。どこに攫われたか、分からない?」
「分かんねえ。それよりも今は飯だ」
「それよりって……」
「響は無事だ。あいつは、オレが助けに行くのを待ってる」
「そうかもしれないけど……」
「だったら、オレは万全を期すために、今は飯だ! よく言うだろ? 腹が減っては勝て
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