第百話 夏侯淵、定軍山に向かうのことその十一
[8]前話 [2]次話
そのうえでだ。顔を見合わせて話すのだった。
「アメリカ大陸か」
「あの大陸にも辿り着いていたのか」
「こう見えても百年以上生きているからな」
華陀もだ。かなりの歳なのだ。
「羅馬にも行ったことがある」
「ローマにもか」
「あの国もいい国だな」
華陀はクラウザーにもこう返した。
「薔薇が咲き誇っていて美味いものが多い」
「それであのコロシウムにもね」
「ホッキョクグマが運ばれていたりしたのよ」
何気に妖怪達も知っていた。
「ローマ帝国もこの国に負けない位繁栄しててね」」
「もうすんごいんだから」
「貴殿等はあれか」
グラントは二人が何故ローマを知っているのか推測してみせた。
「その術で行き来しているのか」
「もうローマだって一瞬よ」
「世界一周もあっという間よ」
空を飛べ瞬間移動すらできる彼等ならばだ。そんなことも朝飯前だった。
それでだ。こんなことも言うのだった。
「南極にも行ったわよ」
「あの大陸にもね」
「最早何でもありだな」
獅子王も唸る様にして呟く。
「だが。それだけの力があるからだな」
「この世界、救ってみせるわ」
「絶対にね」
「とりあえずは定軍山だな」
また言う華陀だった。
「ではあの山に向かうか」
「ええ、そうしましょう」
「今からね」
こうしてだった。彼等の方針は決まった。
しかしだ。ここでだった。
命がだ。ふと呟いたのだった。
「それにしてもどうしてなのですか?」
「どうして?」
「どうしてというと?」
「何故定軍山に軍が向かうとわかったのですか?」
彼女が気付いたのはこのことだった。
「それがわからないのですが」
「そうだな。今回は内密に動いている様だが」
「そうよ。殆んどの人が知らない出陣よ」
「そうなのよ」
こう話す二人だった。
「それをどうしてあたし達が知っているのか」
「そのことよね」
「はい。どうしてなのでしょうか」
「それは簡単よ。あたし達の目はね」
「さっきも言ったけれど」
「そうでしたね。見えておられていましたね」
そのことをだ。命は思い出したのだった。
「そうでした。すいません」
「他には千里先の針の落ちる音が聞こえたり」
「どんな匂いでも嗅ぎ分けられるわよ」
今度は鼻だった。
「もう犬にだってね」
「負けないから」
「こうした人物だからか」
ギースもわかったのだった。
「世界を救えるのか」
「力は正しいことに使うべきだから」
「そうさせてもらうわ」
二人は少なくとも邪悪ではなかった。外見はともかくだ。
そしてその力でだ。また働こうとするのだった。
第百話 完
2011・8・7
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ