第三話 少しずつでもその十一
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「そうした生き方だからね」
「人相が悪くなるんだ」
「そうよね」
「だからそういうのを見てな」
「人と付き合うことね」
「そうするんだぞ、しかしな」
父は何時の間にか焼酎を出していた、それをロックで飲みつつ言った。つまみも出していてそれはピーナッツだった。
「東京だといいけれどな」
「お店は?」
「神奈川もな、それで千葉もまだな」
「いいの」
「千葉市とかはな、ただ埼玉はな」
「埼玉近いのに」
「お父さん達の頃は埼玉は田舎扱いだったんだ」
娘にこのことを話した。
「実はな」
「田舎って」
「埼玉県民はその辺りの草でも食ってろとか言うだろ」
「それ漫画の台詞じゃない」
咲は即座に返した。
「確か」
「本当にそんな扱いだったんだよ、埼玉は」
「そうだったの」
「西武ライオンズもな」
このプロ野球の球団もというのだ。
「どれだけ強くてもな」
「人気ないとか?」
「周りに西武ファンの娘いるか」
「あれっ、殆どいないわ」
咲も言われてこのことに気付いた。
「そういえば」
「そうだろ」
「ヤクルトか横浜で」
「阪神も多いだろ」
「もう全国区だしね」
「それでパリーグは何処だ」
「日本ハムとか楽天?」
ヤクルトファンの咲はパリーグのことには詳しくない、それで首を傾げさせつつそのうえで言った。
「一番多いのはロッテね」
「あそこは地元千葉だからな」
「関東だしね」
「日本ハムも昔は東京が本拠地だったんだ」
「私が生まれる前に北海道に行ったのよね」
「そうなったからな」
それでというのだ。
「今は北海道だけれどな」
「昔は東京に本拠地あったのね」
「東京ドームだったんだ」
「そうだったの」
「ああ、それで西武ファンいるか」
「今言ったけれど殆どよ」
「そうだな、実はな」
「西武って人気ないの」
「お父さんが子供の頃滅茶苦茶強かったけれどな」
八十年代から九十年代中頃までだ、文字通り獅子の時代と言っていいまでに西武の強さは圧倒的だった。
「けれどな」
「人気はなかったのね」
「どんなに強くてもな」
「ソフトバンク強くて人気あるのに」
「九州じゃ凄いな」
「圧倒的よね」
強さだけでなく人気もというのだ。
「話を聞くと」
「そうだな、けれど西武はな」
「人気なかったの」
「昔からな」
「そうだったのね」
「それで埼玉県もな」
「田舎扱いだったの」
「もうネタにされっぱなしだったんだ」
自分が若い頃はというのだ。
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