第三話 少しずつでもその十
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「埼玉って」
「いや、それでも父さん達から見ればな」
その時はというのだ。
「もうな」
「それこそなの」
「埼玉はもうな」
「あまり、な場所なのね」
「どうしてもそうした意識はあるな」
「そうなのね」
「そう、だからやっぱり東京だな」
働くならというのだ。
「ガソリンスタンドもな」
「そうなのね」
「まあそこからな」
それでというのだ。
「店長になってもな」
「そんなになのね」
「不安じゃないな」
「東京ならいいのね」
「東京なら地元だからな」
それ故にというのだ。
「もうな」
「いいのね」
「やっぱり父さんは東京の人間だ」
「江戸っ子?」
「いや、江戸っ子っていうとな」
父はその表現についてはどうかという顔になって述べた。
「葛飾とかだろ」
「下町ってこと?」
「ああしたところに三代住んでな」
「言われるの」
「そうだろうな、あとチャキチャキの江戸っ子とか言ってな」
「もうその表現死語でしょ」
「まだ言う人いるだろ、それでそう言っていてな」
自分をというのだ。
「自分は飄々としているつもりで自己中心的で陰湿で底意地が悪いのが出てな」
「江戸っ子のイメージじゃないじゃない」
「ああ、凄い嫌な奴になってる先輩もいたな」
「そうだったの」
「昔職場にな」
「その人嫌われてたでしょ」
「人好きはしなかったな」
実際にとだ、父も否定しなかった。
「目も笑ってなかったしな」
「目ね」
「ああ、いつもな」
「お姉ちゃん人の目には気を付けろって言ってたけれど」
「愛ちゃんか」
「この前ね」
「それはその通りだぞ、目が笑っていなかったり濁っているとな」
そうした目の人はというのだ。
「近寄らない方がいいな」
「それで近寄って来てもよね」
「信用するなよ」
「絶対によね」
「ほぼ確実に悪い人だからな」
「それお姉ちゃんも言ってたから」
愛もというのだ。
「はっきりね」
「そうだろうな、愛ちゃんもいいこと言うな」
「お姉ちゃん色々わかってるわね」
「派手だけれどな」
ファッションやメイクはだ、父はここでも愛のそうしたところは気になってそれで言ったのである。
「そうみたいだな、それで実際にな」
「目を見ることね」
「その通りだ」
「あと人相も言われたけれど」
「人相も生き方が出るからな」
「それもお姉ちゃん言ってたわ、ヤクザ屋さんはね」
愛に言われたことをまた話した。
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