第百話 夏侯淵、定軍山に向かうのことその九
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「もう豚と同じでね」
「何でも使えるから」
「豚?」
しかしだった。刀馬は。
豚が何でも使えると聞いてだ。首を傾げさせて二人に問うた。
「豚はそこまで使えるのか?」
「豚はだ」
クラウザーがいぶかしむ彼に対して話す。
「腹や足や背だけではなくだ。他も食べられるのだ」
「そういえば」
彼の言葉でだ。刀馬もふと気付いた。
「この国では豚の耳や内臓も食べているな」
「皮も食べているな」
「そうだな。頭も食べている」
それもだった。そしてだ。
「骨でだしを取っているな」
「スープだな」
「そうだな。豚は何でも使えるのか」
「声以外は食べられる」
今言ったのは獅子王だった。
「それこそだ」
「そうなのか」
「だからこそどの国でもよく食べられる」
カインも刀馬に話す。
「当然アメリカでもだ」
「アメリカでも豚はよく食われる」
グラントも話す。
「俺は耳が好きだ」
「私は内臓もいける」
カインはそれだった。
「豚の内臓は美味だ」
「だから誰もが食べているのか」
「まああたし達が今食べるのは熊だけれどね」
「熊の内臓もいいわよ」
ここでまた貂蝉と卑弥呼が話す。
「では食べましょう」
「それじゃあね」
「ただし。気をつけることがある」
華陀が出て来て一同に話す。
「肝には注意しろ」
「肝臓よ」
「そこのことよ」
妖怪達が華陀の説明に補足を入れる。
「内臓全体じゃないから」
「それは安心してね」
「ではその肝に何がある」
無限示が尋ねた。
「熊にも毒があるのか」
「正確に言うと毒じゃない」
華陀もそれは否定する。
「しかしだ」
「しかし?」
「熊の肝にはビタミンAだったな」
「急に我々の時代の言葉になったな」
クラウザーがすぐに突っ込みを入れた。
「妙な話だな」
「その方がわかりやすいからな。それでだ」
華陀の話が続く。
「ビタミンは本来は身体にいいのだが」
「では問題ないのではないのか?」
ギースが問うた。
「私は栄養学については詳しくないが」
「多過ぎるんだ」
そのだ。ビタミンの量がだというのだ。
「それが多過ぎて人間には毒になるんだ」
「毒にか」
「それになるか」
「ああ。何でも過ぎたるは及ばざるが如しだ」
医者ならではの言葉だった。
「熊の肝はそれが多過ぎて。猛毒になるんだ」
「絶対に食べられないのですか?」
「ああ、あまりにも多過ぎてな」
そうだと命にも話す華陀だった。
「生だと勿論駄目だ」
これはもう論外だった。
「ビタミンが破壊されないからな」
「では火を入れてはどうだ」
カインが調理法を提案した。
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