3話 私、野球やりたいよ
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途中で珠姫さんが加わった私達五人は校内の野球場にやってきた。
入学式にグラブを持ってきている訳もなく、私達は体育倉庫にしまわれていたグラブをお借りしている。
野球部の練習は行われていなかったが、綺麗に整備されたフェアグラウンドに入ることは気が引け、グラウンドの端っこでキャッチボールをしていた。
私は芳乃ちゃんと息吹ちゃんを相手に交互にボールを投げる。二人は初心者なので距離はほとんど捕っていない。
「グラウンド来てみたけど、誰もいないね」
「停部期間は終わってるはずだけど……廃部になっちゃうのかな?」
息吹ちゃんの言葉に芳乃ちゃんは悲しそうにそう返した。
「これだけ綺麗にしといて廃部ってことはないと思うけど……」
グラウンドを軽く見渡しても丁寧に整備されていることが見て取れる。しかも、最後に整備されてからそう経っていないんじゃないかな?
「そう言えば、陽美ちゃんとどこかで会った事あるかな?」
ふと芳乃ちゃんがそんな事を聞いてきた。
「どうだろう?夏休みとかこっちに来てたから、もしかしたら会った事あるかもね」
と、三人で話している間にも横からは皮の乾いた良い音が聞こえていた。
「タマちゃんってキャッチャーだったんだね」
「ヨミちゃんはピッチャーなんだね」
話しながらもヨミちゃんはどんどんギアを上げていく。
「やっぱり経験者のプレーはキャッチボールだけでもかっこいいね」
芳乃は二人の姿に目を奪われていた。
「そうね。陽美は良かったの?向こうに混ざらなくて」
息吹も経験者二人のキャッチボールを見て私にそう尋ねる。
「二人の再開の儀式だしね。邪魔しちゃ悪いよ。それに私は二人と違ってコントロール激ヤバだから。息吹ちゃんと芳乃ちゃんの前でカッコ悪いとこ見せられないよ」
それにしても、二人とも凄くコントロール良いな。一球も胸の真ん中からボールが逸れてない。
「どお?私の直球は!」
ヨミちゃんは投げながら珠姫さんに感想を聞いた
「普通かな」
珠姫さんはヨミちゃんの感想に答えてボールを返した。
「あはは……厳しいねぇタマちゃんは」
でも一回戦で負ける様な球じゃないと思う。ひょっとして変化球を投げられないとか?
「投球練習してみる?」
「うん!」
珠姫さんの提案でヨミちゃんの投球練習が始まった。
「よーし、じゃあ打席で見てあげるわ」
「じゃあ私は審判ね」
息吹ちゃんはバットを持って右打席に、芳乃ちゃんは珠姫さんの後ろに立つ。
「良いけどヘルメット被ってね。あと後ろ危ないよ」
審判の位置からだと逸れたボールが直前でキャッチャーの陰に隠れるので、そういった球
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