暁 〜小説投稿サイト〜
天才少女と元プロのおじさん
40話 外野を抜いてシュバッとホームまで駆け抜ける!
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たのに」
「私は大野さんみたいにキレの良い変化球は投げられませんよ?」
「あれだけ球種があればうちの守備を使って抑えられるわ」
「あはっ。そこまで評価して頂いて光栄てす。それじゃあ高評価ついでにスライダーのコツ教えてください」

 正美の言葉に大野は暫し考える素振りを見せた。

「??????良いわよ。その代わりアンタも変化球教えなさい」

 正美は大野からスライダーを投げる際に意識している事や練習法などを教わり、逆に高速シンカーの握りと投げ方を教えた。

「にしても、アンタよく負けた直後に相手に教えを請えるわね」

 大野は腕を組んで呆れ半分に言う。

「うーん。今まで勝ち負けにこだわって野球したことがなかったので、そういう感覚分からないんですよね」

 勿論、正美だって試合に勝てば嬉しいし、負けると残念と感じる。しかし、試合に負けても野球は楽しいのだ。しかし、悔しさを堪えきれず涙が溢れるというのは、正美にとって未知の感覚であった。

「??????そう」

 大野は目を閉じて相槌を打つと、一読この話を終わらせる。






「三輪さん」

 三人が自チームの所に戻ろうとすると、正美が大野に呼び止められる。

「アンタの純粋に野球を楽しむスタンスを否定するつもりはないわ。ただ、そのスタンスを貫くのなら次もウチはアンタに負けないわよ」
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