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天才少女と元プロのおじさん
39話 そんなに軽いものじゃないと思うんだよねー
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より左方向のヒットゾーンが狭められた。

――多分、初球みたいな外スラがくる。

 投じられた白球は希の思い描いた通りの軌道を描く。希のバットはその軌道上で白球を迎え撃った。

――おもいっきり引っ張る!

 バットと白球はしっかりとコンタクトされる。しかし希は右方向を狙って放った打球は正面へと飛んでいった。それでも、普通ならセンターへ抜ける当たりである。

「ランナーバック!!」

 しかし、芳乃はランナーに帰塁の指示を飛ばした。シフトが動く中でセカンドが二塁方向へ動いていたからだ。

 しかし、セカンドの動きが視界に入っていなかった二塁ランナーの白菊は反応が遅れる。

 ライナーを掴んだセカンドはそのまま二塁を踏んだ。白菊は帰塁が間に合わず、ダブルプレーが成立する。

 グラウンドにいた選手たちがベンチへ引き上げる中、希はその場で立ち尽くして動けずにいた。そんな希を芳乃が慰めているのを視界の端に捉えながら、正美はこれまた落ち込んだ様子でベンチに引き上げている白菊へ駆け寄る。

「ドンマイ」

 正美は白菊の背中をポンポンッと叩いた。

「すみません???????すみません??????」

 白菊は目に涙を浮かべて謝罪の言葉を繰り返す。

「また打席回るからバットで取り返そ。それにしても凄いよね、柳大川越の球代わりシフト。今のを処理されちゃんなんてねー。たから自分を責めないで相手を誉めよ。ね?」

 そうやって、正美は白菊を慰めるのだった。






 五回の表が終了。新越谷 1ー3 柳大川越。
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