39話 そんなに軽いものじゃないと思うんだよねー
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ンチから柳大川越の監督が出てきた。少し遅れて大野がマウンドへ走って向かう。
【柳川大学付属川越高校、選手の交代をお知らせします。ピッチャー朝倉さんに変わりまして、大野さん。ピッチャー朝倉さんに変わりまして大野さん。背番号1】
正美は一塁から詠深に対する投球を観察していた。球威はそれほど無いが、足の踏み込む位置から考えるとかなり横の角度がある事が推察される。
今大会14回を投げて僅か1失点。防御率0.50でWHIP0.86。ここまで圧倒的な成績を上げている。
しかし、新越谷は練習試合で大野から初回に三点を上げていた。その為ナインは朝倉を早く降ろして苦手意識大野との勝負に持ち込みたいと考えていた。一人を除いて。
――みんなは大野さんの方が打ちやすいと思ってるみたいだけど??????。
詠深が三振に取られ、打順は希に回る。
――そんなに軽いものじゃないと思うんだよねー、1番って。
正美は一人、改めて襟を正す思いで、登板前とは纏う空気の変わった大野を見詰めた。
希に対する大野の初球は体へ向かう軌道からストライクゾーンへ変化するスライダー。
――(練習試合で)三塁打した球と同じ。ここから真ん中低めに曲がってくる!
しかし、希の予測よりも大野のスライダーの変化は大きく、希のバットは空を切り、外角低めを通過した白球は浅井のミットに収まった。B0ーS1。
二球目。内へ食い込む切れ味抜群のシュートに希のバットが中途半端に出る。B0ーS2。外に内にと完璧にコントロールされる大野の投球術に希は翻弄されていた。
三球目??????変化球二球で追い込まれた後の外角低めに投じられた直球に希は反応できず、見送ることしかできなかった。焦って球審を振り替えると、判定はボール。首の皮一枚繋がったが、ここまで大野のペースで勝負が進んでいる。
――まずいなー??????希ちゃん完全に呑まれちゃってる。
正美は希が萎縮しているのに気付く。一度ベースを踏んで声を掛けようとすると、実行に写す直前にすぐ横から声が上がった。
「希ちゃん!集中!!打てるよ!!」
声を上げたのはコーチャーズボックスに立つ芳乃である。芳乃の声に気付いた希は一塁側に振り返った。
「らしくないよー。いつものメラメラの闘志はどこ行ったの?希ちゃんなら打てるはすだよ!」
芳乃に続いて正美も声を掛ける。
希はこちらに微笑みを見せると、大野に向き直りバットを構えた。
四球目、内角へのシュートを三塁側ファールグラウンドへカットする。希のスイングにはもう固さは見られなかった。迷いは無くなっている。
五球目、大野が投球モーションに入ると守備シフトに
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ