38話 哀れ稜ちゃん
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すよ。一日でも長く!
平田の振り抜いたバットは白球を左中間へ鋭く跳ね返した。あわやホームランかという当たりはフェンスに当たってグラウンドに落ちる。クッションボールを怜が無駄なく処理してバックホームするが、ファーストランナーの石川もホームへ返り、柳大川越が二点を追加した。
一塁側ベンチの柳大川越が沸き上がる中、今度は新越谷がタイムを掛ける。内野陣が集まったマウンドへ芳乃もドリンクを持って向かった。
レフトを守る正美はセンターへ行くと怜に声を掛ける。
「キャプテン、ナイスローでした」
「ああ。でも、すまない。ホーム刺せなかった」
「いやいや、あれはしょうがないですって。てか、よくダイレクトで投げましたね。ここ中堅122mなんですけど」
埼玉県営大宮公園野球場は男子プロ野球の公式戦でも使用される事がある球場である。そんな球場のフェンス近くからホームへ送球した事に対して若干引き気味の正美に、怜は苦笑した。
「マウンドの方は済んだみたいだ。そろそろ戻ろう」
怜の視線を追うと、内野陣がそれぞれのポジションに戻っている。それを見た正美もレフトへと走っていった。
タイム明けの後続をしっかりと切った新越谷のベンチでは正美と珠姫が話をしていた。
「そっか。ヨミちゃん知ってたんだ」
「私が考えてるから良いかな、て。まったく、ピッチャー始めたての二人はともかく、ヨミちゃんも正美も、私に任せっきりなんじゃないかな?」
「あはっ。頼りにしてるよ。これからもビシッと私達をリードしてね」
暖簾に腕押しな正美に珠姫は溜め息を吐くのだった。
そんなこんな話しているうちに理沙がレフト前へヒットを放つ。
「うわっ、凄い音??????重そう??????」
「正美、理沙先輩に怒られるよ?でも本当に凄い当たり。三遊間が打球を追えていない」
思わず漏れた正美の言葉を珠姫が嗜めた。正美が入部する前の合宿でピッチャーの試験をした時に多数から“重そう”と言われた理沙が青筋をたてていたのを珠姫は思い出す。
「いや、打球の事だからね。タマちゃんも冗談言うんだね」
しかし、そんなエピソードを知らない正美はジョークだと思い、苦笑しながら返した。
「とにかく、本人の前で言っちゃ駄目だよ」
「???????うん、分かった」
念を押す珠姫に正美は首を傾げながらも頷くのだった。
ノーアウトの走者が出たところでバッターボックスに向かうのは稜。右打席に立つ彼女の表情は硬かった。
――ここでヒットを打って調子を取り戻してくれれば良いんだけど??????。
「打ちなさい!」
稜に檄を飛ばすのはガールズから彼女と共にプレイしていた菫である。
「空気読
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