暁 〜小説投稿サイト〜
天才少女と元プロのおじさん
夏大会6回戦 柳大川越
36話 私がちっちゃ過ぎて気付かなかったとでも言いたいのかなー?
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な軌道から鋭く曲がる球を、これまた簡単にカットされた。

 早めに最初のアウトをとって良いリズムを作りたいと考えた珠姫は四球目に強ストレートを要求する。必殺の決め球であったが、大島が右足を踏み込んだタイミングはドンピシャ。

 しかし、バットは空を切り、白球は珠姫のミットに吸い込まれる。詠深の強ストレートは大島の予想よりも高めの軌道を描いた。

――最後のスイングだけ思いっきりが良かった。まさか強ストレート狙い?

 今の打席を正美は訝しむ。強ストレートは制球が良くないが、球質は代名詞のナックルスライダーにも劣らず非常に良い。敢えてこれを狙う理由とは??????。






 二回裏、ワンナウトで迎えるは5番の石川。ここから1年生が二人続く。

 打席の結果はセンターフライだったものの、彼女もタイミングはバッチリ。そして、打ったのはこれまた強ストレート。

 正美は投球する詠深を見つめる。

 6番打者の平田をサードライナーに打ち取った球も強ストレートだった。彼女もタイミングが合っている

――??????見えた。

 正美はベンチへ戻ってくるナインを出迎える芳乃の元に歩を進めた。芳乃は珠姫に詠深の調子を聞いている。珠姫は、調子は良いと答えるが、その先は声を潜めて話す。

「けど、強ストレート間違いなく狙われてる」
「やっぱり??????」

 そのやり取りをこっそり聞いていた正美は二人の話に割り込む。

「二人は詠深ちゃんの癖のこと知ってたんだねー」
「わぁっ!???????正美ちゃんいつの間に!」

 誰かに聞かれているとは思っていなかった珠姫は急に話に入ってきた正美に驚いた。

「私がちっちゃ過ぎて気付かなかったとでも言いたいのかなー?」

 正美は笑顔のまま表情筋を動かさないで珠姫を見つめる。

「い、いや。そんな事ないって」

 慌てて誤解だと伝える珠姫を見て、正美は笑った。

「あはっ。冗談だよ。やっぱ二人はヨミちゃんの癖、気付いてたんだね」
「最初に気付いたのは息吹ちゃんだけどね。正美ちゃんも気付いてたんだ」

 芳乃は気付いたのは息吹だと、正美の言葉を一部訂正する。

 馬宮高校戦で息吹は詠深をコピーして投げていたのだが、練習で強ストレートを指定し、伸びの良いストレートを投げてみせたのだ。曰く、リリースのタイミングが違うとの事なのだ。

「伊吹ちゃん良く見てるなー。こんど細かすぎて伝わらないモノマネやってもらおうかな?」

 などと正美が話していると、珠姫は詠深にはまだ話さないよう、正美にお願いする。

「えっと??????正美ちゃん、この事はヨミちゃんにはまだ言わないでね。気にしてフォーム崩すといけないから」
「うん。ヨミちゃ
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