第百話 夏侯淵、定軍山に向かうのことその二
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「益州といえば」
「劉備よ。あの娘は今益州の政を進めているけれど」
「それであの辺りもわかってきたのですね」
「そうよ。地理や人口もね」
「特に人口ですね」
「あの辺りは人が多いけれど治安はかなりいいから」
そこからだ。得られる結論は。
「賊は少ないわ」
「山賊もですね」
「そうよ。少ないわ」
また言ったのだった。
「少ない筈なのよ」
「そこに一軍を向ければ」
「山賊なら簡単に征伐できるわ」
曹操は言い切った。
「ましてや貴女にはそれなり以上の軍を率いてもらうし」
「数においてですか」
「そうするわ。山賊どころか下手な叛乱を鎮圧できるだけの軍をね」
「では」
こう言ったのだった。
「その軍に対することができる相手は」
「定軍山にはいない筈。ここまで言えばわかるわね」
「はい、私はあえてですね」
「頼めるかしら。危険だけれど」
「喜んで」
夏侯淵の返事はすぐだった。
「そうさせてもらいます」
「いいわね。何かあればね」
曹操は夏侯淵を強い顔で見てだ。こう言ったのだった。
「すぐに連絡しなさい」
「すぐにですね」
「絶対に死なないことよ」
曹操は本心も出した。夏侯淵に対して。
「必ずね」
「わかりました。必ず生き残ります」
「そうしなさい。絶対によ」
こう念を押してだ。そうしてだった。
夏侯淵は密かに出陣の用意に入った。そして密かにだ。
秦兄弟にレオナ達、そしてガルフォードに声をかけた。そうして言うのだった。
「いいだろうか。場所は定軍山だ」
「ああ、わかった」
「そこですね」
まずは秦兄弟が応える。まずは二人が頷く。
「それも内密に進むか」
「そうしてですね」
「そうだ。内密にだ」
また話す夏侯淵だった。
「いいな。兵達にも詳しい場所は伏せておいてくれ」
「何か考えてるな」
「それもかなりのことだな」
ラルフとクラークが話す。
「何か面白そうだな」
「じゃあ乗るか」
「頼めるか」
夏侯淵はあらためて彼等に話した。
「是非共だ」
「ただ。気になるのは」
レオナは鋭い目になり夏侯淵に尋ねた。
「ここまで秘密主義に徹するのは」
「そうだよな。そこがわからないな」
「あからさまに怪しいな」
ラルフとクラークもだ。そのことについて話す。
「曹操さんも限られた人間にだけ話してるっていうしな」
「俺達にも秘密主義でいてくれってな」
「まああの山は前から噂があるけれどな」
「それもあるんだろうがな」
「華琳様は我々をあえて囮にしてだ」
夏侯淵もだ。彼等に話した。
今は密室の中だ。その中で話をしている。灯りは一本の蝋燭が中央にある。その灯りだけを頼りにしてだ。彼等は話しているのだ。
「あることを見出そうと
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