暁 〜小説投稿サイト〜
天才少女と元プロのおじさん
27話 すっごく心強かったよ!
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先へ進むのだという仲間への思いをバットに込めた。

 キーンッ、と甲高い音が球場の外まで響く。ふわりと舞い上がった中田の当たりは??????????????内野の頭を越すことさえ叶わなかった。思いは届かず、白球はファーストを守る希の元へと落ちてくる。

 希がしっかりとボールを掴むと、審判のアウトコールと共にゲームセットが宣言された。

 本大会最初の番狂わせに球場が沸き立つ。

 新越谷ナインは一斉にマウンドへ駆け付けた。珠姫が詠深に飛び付き、理沙が詠深の後ろから肩に腕を回す。菫はベンチから出てきた稜と喜びを分かち合い、そして正美も今回はこの輪の中に入っていた。詠深と珠姫の背中をバシバシ叩き、満面の笑みを浮かべている。皆まるで優勝したかの様なお祭り騒ぎだ。

 負けた梁幽館は現実を受け止めきれず、ただ立ち尽くす。だが一人、それに釣られる様にまた一人とホームベースに集まった。

 整列して互いの健闘を称え合うと、双方ベンチへ引き上げていく。

 グラウンドでは気丈に振る舞っていた梁幽館のメンバーも、ベンチに降りると次々に泣き崩れていった。

 それに対し、強豪梁幽館を突破した新越谷サイドは終始笑顔である。たった一人、ずっと不思議そうにしていた詠深を除いて。
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