暁 〜小説投稿サイト〜
天才少女と元プロのおじさん
24話 お前もハリネズミにしてやろうかー!
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 2球目も同じく強ストレート。外角の球を中田もまたフルスイングすると、今度は真後ろに飛んでいった。

 1球仰け反らせるインハイで外して迎える4球目。ナックルスライダーを中田はライト側へカット。その打球はグングン伸びていき、ポールの外を通りスタンドへ飛び込む。カウントに動きは無かったが、中田のスケールの大きさを改めて見せ付ける形となった。

 それから両者の一歩も引かない攻防が始まる。新越谷バッテリーは微妙なボール球と明らかなボール球を交えて投げているが、中田はその全てをカットしている。

 高校通算50本塁打、OPS2前後の数字を誇る中田はカウントが悪くなると勝負を避けられる可能性が高い。だが2out走者なしの状況において、チームが中田に求めているのはホームラン。それを分かっているからこそ、中田はボールと分かっていてもバットを振る。いつか来るストライクを仕留める為に。それが出来る事こそが、名門梁幽館高校野球部において中田が4番に座る所以である。

 外に変化球を散りばめ、布石を整えた10球目。ここで決めようと珠姫はインハイの強ストレートのサインを出す。詠深は未だ慣れないこの球を珠姫の構えた所へしかと制球して投げた。

 珠姫の期待以上の、本日最高の直球。そして????????????中田の待ち望んだ好球(ストライクゾーン)

 中田は哂った。

 そして、詠深と珠姫の胸郭内に悪寒が走る。

 中田がフルスイングすると、バットは直球をジャストミートした。

 打球はレフトへ、高々と(そら)を駆ける。中田の打球を初めて直に見た者は始めフライに打ち取ったと思う者もいるだろう。

 しかし、長打シフトの息吹は一歩も動かない。打球は彼女の遥か向こう側へ伸びる。

 ようやく白球が落ちた場所はレフトスタンド後方。中田は歓声が降り注ぐ中、ゆっくりとダイヤモンドを一周した。

 バックスクリーンに1の文字が掲げられる。0ー3。新越谷は重い重い追加点を奪われた。

 続く5番打者にも良い当たりを打たれるが、センターライナーとなり、五回を終える。
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